生活視点の映画紹介。日常のふとした瞬間思い出す映画の1シーンであったり、映画を観てよみがえる思い出だったり。生活と映画を近づけてみれば、どちらもより一層楽しいものになるような気がします。


by yukotto1
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大切にしたいもの-信じるというゲーム-

月曜日に「TYPE」という転職雑誌の取材を受けた。
記事ではなく、リクルーティング広告の制作のための取材。
なんというか、社員紹介みたいな感じ。

私は1年半前に、結構有名な大企業を辞めて今の会社に転職したのだけれど、どうしてそこを辞めたのか?どうして今の会社に入ったのか?転職してみてその後どうか?今後はどうしたいか?といったことを、質問されてそれに答えた。
およそ1時間のインタビュー。



こういった質問は、転職を決意してから今日まで、公的私的にしょっちゅう訊かれる。
しょっちゅう訊かれるので、私も「なんでだっけ?」と考えるし、話をするのにも慣れてくる。

そういう中でずいぶん整理されたと思うのだけれど、私っていう人間は「競争じゃなくて個性で生きていきたい」って思っているんだなーということ。
それは仕事だけじゃなくって。

人と比べて自分が勝る劣るっていうのは疲れる。
誰かが引いた一律の合格ラインを目指してがんばるんじゃなく、私でなくてはできないことのためにがんばりたい。
一生懸命やった結果が合格か不合格か、勝ち組か負け組かなんていう軸だけでジャッジされたら、あまりにも空しいし、そんな緊張感の中でだけ自分を保つことは難しい。
私は「勝つためには自分を裏切ってでも」みたいなことはできない不器用な人間だし。

ただ、自分が信じることのためなら、どこまででもがんばれるんじゃないかと思ったりもする。
できるなら、それを守り抜く私でありたい。

個性で生きるということは、誰かの評価をよるべにするのではなく、信じる何かを持つことだと思う。
それは、ある意味では、競争に勝つことよりもチャレンジングなことかもしれない。

「大切なものを大切にする」ということは、当たり前のようで案外難しい。
日常においては、「そんなものを大切に思うなんておかしい」とか、「それは大変なことだからやめたほうがいいよ」という心無い意見が横行している。
プライベートな生活全てを犠牲にしてでも打ち込みたいことがあるときだとか、好きになってはいけないと言われる人をどうしようもなく好きになってしまったときだとか、今までの方向性を全て無にしてしまうような大きな転換を図ろうとするときだとか、そういう様々な局面で、まるで試練のように、なにげない他人の言動が勇気をくじこうとすることがたくさんあるのだ。

私の友達には、大してお金にもならないし安定した地位も得られないのに、懸命に勉強して国連に入り、海外の危険な地域に赴いて世界平和のために尽している人がいる。
経営については素人同然で会社を作り、貯金を食いつぶしながら、睡眠時間なんてほとんどゼロで、ひどいときには救急車で運ばれたりしながらでも、ただただ好きなゲームを作り続けている人がいる。
「ちょっとはさー世間のことを見なよ」と私でさえ声をかけてしまうほど、頭の先から足の先まで、研究中の学問のことでいっぱいで、テレビも音楽も、あらゆる娯楽を排除して生活する人がいる。
結婚している人を好きになって、20代後半の全てをその恋に捧げて、そしてまだこれからも、ぼろぼろになるまでその恋を貫くと、ぼろぼろになりながら宣言する人がいる。

あるいは、有名大学を出て、薄給の編集者になった人、劇団員になった人、新幹線の運転手になった人。
ただ本が好きだとか、芝居が好きだとか、電車が好きだといって突っ走ることができる人。

彼らはクレイジーかもしれないが、私は本当にかっこいいと思う。
私には決して簡単なことではないだけに、本当に、かっこいいと思う。

大学1年のとき出会って、今もずっと心に残る詩。
信じるものが、愛であっても、情熱であっても、自分であっても、なんであっても、守り貫くということは、人生をかけがえのないものにする、とても素敵なことだと思う。


  信じるというゲームから
  また一人
  おりてゆく

  わたしなら
  最後まで
  続けたい
  このゲーム

  恋人を
  信じきり
  信じぬく
  愛情は人生への挑戦

  とても楽しいという
  ゲームとは
  違うかもしれないが
  さきぼそる有資格者の
  少数の人々にだけ
  あじわえる独特の
  境地はあるはず

  信じぬき
  信じきり
  もろともに
  落ちても花

  なぜこうも
  思うのかというなら

  これほどの信頼を
  あの人こそが
  くれたから

          「信じるというゲーム」銀色夏生

春の野原 満天の星の下-信じるというゲーム
著者:銀色夏生
出版社:角川書店
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by yukotto1 | 2004-09-15 20:59 |