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生活視点の映画紹介。日常のふとした瞬間思い出す映画の1シーンであったり、映画を観てよみがえる思い出だったり。生活と映画を近づけてみれば、どちらもより一層楽しいものになるような気がします。


by yukotto1
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花と映画と-お買い物中毒な私!-

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photo by hikaru

ある友人は、花の名前をよく知っている。
駅から自宅へ歩く間に見かけた花の名前を、10種類ほど言い当てられる。

犬の種類もよく知っている。
その血統や気性なんかも知っている。

当たり前みたいに「イングリッシュスパニエル」と言われても、私は「イングリッシュ」なのか「スパニッシュ」なのか混同してしまう始末だ。
それがどんな姿かたちの犬なのか、名前だけ聞いても分からない。

一方、その友人はビジネス用語なんて知らない。

漫画には詳しいのに、映画には詳しくない。
神話には詳しいのに、落語には詳しくない。

私たちは同い年だし、同じ街の出身だし、同じ中学で学んだし、同じような方言で話すのに。
けれども、私たちの興味関心はまったく違うところにあって、そのせいで持っている知識はあまりに違っている。



時間とエネルギーが有限である以上、全てのことを知ることはできないし、全てのことに長けることはできない。
当然のことだけど、人には得意分野というものがある。

それは人生の中で、選び取ってきたもの。

「お買い物中毒な私!」の主人公レベッカの頭の中は、ファッションのことでいっぱいで、彼女の物欲はとどまることを知らない。
彼女にとっては、ショーウィンドウの前をまっすぐ通り過ぎることさえ難しい。
最先端ファッションや高級ブランドを纏ったマネキンが、街ゆく彼女に語りかけるからだ。
彼女は立派な買い物依存症で、挙句、彼女の借金はカード破産寸前まで膨れ上がってしまう。

映画では、そんなレベッカが、あるハプニングでマネー雑誌の記者に採用されてしまうという仰天の展開となるのだが、ファッションと金融、このどうにも相容れない世界が「カード破産」というキーワードで結びついてしまうわけだ。

もちろんレベッカに金融の知識など、ひとかけらもない。
おそらくクレジットカードのしくみさえ知らないが、ただ、それを使うことにだけは経験値が豊富。
彼女独特の切り口が、新鮮で皮肉に満ちていると好評を博し、一躍人気ジャーナリストとなってしまう。

そこはもう、ハリウッド映画。
とんでもないご都合主義の筋書きだけど、それはそれで、よしとしよう。
レベッカが手に入れるのは仕事での成功だけでなく、マネー誌のイケメン編集長と恋にも落ちるのだ。

確かに、キャリアの面で、そこまで世界が違えば、現実的には成功は難しい。
でも、友人や恋人が、自分とはまったく違う世界の人間であることは珍しくない。
むしろ、互いの得意分野が違うからこそ、補い合って刺激があるとも言えるだろう。

私は、花と犬と漫画と神話と、ついでに競走馬にも詳しい友人によく電話する。
会社帰りに、ふと電話してみたくなる。

共通の趣味もないし、仕事の分野も全く違う。
私は一人暮らしだけれど、彼女には賑やかな家族がいる。
電話の向こう、彼女の後ろから、はしゃいだような可愛らしい声がする。

私はそれだけで落ち着く。
さっきまで頭を占領していた今日の仕事のことや、雑多な厄介ごとを、たちまちに忘れる。

私は、なかなか新しい花の名前を憶えないし、彼女は私が薦める映画の100本に1本も観やしない。

それでもそれで、いいじゃない。


お買いもの中毒な私! Confessions of a Shopaholic
(2009年・米)
監督:P.J.ホーガン
出演:アイラ・フィッシャー、ヒュー・ダンシー、クリステン・リッター他
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by yukotto1 | 2010-04-20 00:54 | ハッピーになる映画