生活視点の映画紹介。日常のふとした瞬間思い出す映画の1シーンであったり、映画を観てよみがえる思い出だったり。生活と映画を近づけてみれば、どちらもより一層楽しいものになるような気がします。


by yukotto1
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ジェッダにつながる空-アラビアのロレンス-

a0032317_1819570.jpgジェッダ。
VWの車の名前じゃない。
ある都市の名前。

それ、どこ?と調べてみる。



正解は、サウジアラビア。

恥ずかしながら、聞いたこともない街だった。
でも、響きはちょっとかっこいい。

ジェッダ。意味もなく口の中で繰り返してみたくなる。

そのジェッダで、尊敬するM先輩は働いている。
彼は前の会社の1年上の先輩で、私が異様なほどにテニス中毒になっていた頃、その練習にずっと付き合ってくれたコーチでもある。

健康的な日焼けに白い歯、爽やかな笑顔。
私の知る限り、最高にピュアで信頼できる人のひとり。(しかも男前!)

Mさんは、今年の1月からサウジアラビアに単身赴任になった。
日本には、奥さんと生まれてまだ半年の息子さんを残している。

久々にMさんにメールを送ると、サウジは今、テロの影響で危険極まりなく、「万が一」の事態に備えるために、防弾ガラスに鉄格子、防弾チョッキ、エマージェンシールーム・・・と、平和ボケした日本人には俄かに想像できない環境で暮らしているとの知らせ。
さぞかし不便でストレスフルだろう・・・

そう思って、「大変ですね」と返信したら、それには「とても楽しく充実している」との答え。
日本でのオフィスワークを離れ、自社車両に不具合があれば現地へ赴き、自らの手で修理している(自動車整備学校出身!)とか、向こうでもフィリピン人やエジプト人とテニスを楽しんでいるとか、仕事も余暇も十二分に楽しんでいる模様。
実に彼らしい!

Mさんは苦労人で、今日の彼に至るまで様々な紆余曲折を経てきた。
大きな挫折を経験したけれど、それでも人一倍の努力で、天職のような仕事と例外的と言えるほどの、でも彼以外にはもたらされることがなかったであろうチャンスを勝ち得てきた。
その苦労、その努力の上に、そして決して揺るぎない信念と純粋さの上に、彼のタフさと明るさ、優しさがある。

私はテニスばかりでなく、ずいぶん彼に元気をもらった。
彼は何より私の強力なサポーターで、かつても、今でも、これからも、きっと私を応援してくれると、勝手に思っている。
だから、私もそれに応えたい。

「私って男運がほんとになくって」と言ったときには、「でも人には本当に恵まれているよ」とMさんは言った。
「そんなにいい出会いがたくさんあって、いい経験ばかりできるのは、それは、あなたが人を惹きつけるいい生き方をしているからだよ」
感謝にあふれて、思わず胸がつまった。

ジェッダ。
知らない街だけれど、そこに大好きな人が暮らすと思うと、まるで懐かしい街のような気がする。

想像するなら、映画「アラビアのロレンス」の世界。
暑い暑い砂漠に、この世で一番美しい海の対比。
何もない乾いた大地を抜けて、唐突に出くわす、命の源。
深遠なる歴史を静かに見つめ続けるその土地は、もしかしたら、自分もたどりたどればそこから来たのではないかと思うほどの、求心力。

広い広い、空。

言葉、文化、宗教、歴史、抱える背景すべてが異なる世界で、ただひとり違う肌の色で、アラブのため勇敢に戦った男の物語。
「戻れば必ず死ぬ」と忠告する仲間に、彼は言う。
“Nothing is written!”(運命などない!)

昔、会社の研修で、1ヶ月の工場勤務と3ヶ月間のディーラー勤務をしたことがある。
私の本業はメーカーのマーケティングで、生産現場ともディーラーの仕事とも関連があった。
私が商品や販促の企画をした車を、作る人、売る人、買う人。
一つの商品を通じて、想いが連なる。
実際に作る人、売る人と一緒に働き、買う人と直に接してみて、私は何のために働いているのか分かった。

私一人で完結しているんじゃない。
全部、つながっているんだ。
この世界は全部、つながっているんだ。

今日の明るい空も、ジェッダの空とつながっている。
もしかしたら向こうは、まだ朝もやの中かもしれないし、夕闇の中かもしれないけれど。
でも、ちゃんと、つながっている。

そして、その空の下で、彼は元気に働いている。

とてもとても、すがすがしい気持ちになった。

(明日、海外へ旅立つ彼にも、はなむけに)


アラビアのロレンス RAWRENCE OF ARABIA(1962年・英)
監督:デヴィッド・リーン
出演:ピーター・オトゥール、アレック・ギネス、オマー・シャリフ他
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by yukotto1 | 2004-10-08 00:50 | 迫力系映画