生活視点の映画紹介。日常のふとした瞬間思い出す映画の1シーンであったり、映画を観てよみがえる思い出だったり。生活と映画を近づけてみれば、どちらもより一層楽しいものになるような気がします。


by yukotto1
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やっとできました-グラディエーター-


ずいぶん長らくぶりの友人からメールが届いた。

「長いこと作っていたゲームがやっと発売されました」
そんな知らせ。
タイトルは「グラディエーター ロードトゥフリーダム」。
ローマ時代の剣闘士の戦いをテーマにしたアクションRPG。

同い年の彼は、私が学生時代にアルバイトしていたゲーム会社のデザイナーだった。
今は独立して、自ら制作会社を立ち上げ、その代表を務めている。
今回の作品、開発メンバーの幾人かは、当時私も一緒に働いていた人たちだ。



最近、偶然テレビで映画「グラディエーター」をモチーフにした感じのゲームのCMを観かけていて、「そういえば、そろそろ彼のゲームが出る頃かなあ?もしかしたらこれかな?」なんて思っていたところだった。
プレイステーション用のゲームを製作中というのは以前から聞いていたものの、そのタイトルや内容は知らなかったのだけれど、ピンときたのは、CMに登場するキャラクターのデザインとその動き。

私はしばらくその業界に身を置いていただけなのだけれど、それでもなんとなく、特長あるCGの作風なんかが理解できたりする。
ゲームキャラクターの剣闘士(グラディエーター)のリアルなバランスや力強い動きは、私が記憶している彼らのスタイルによく似ていた。

だから発売の知らせを受けたとき、「あ、やっぱり」。

CMの限りでは、迫力があって、なかなかよい感じ。
友人の知らせを聞く前から、ちょっと興味はあった。
といっても、最近はめっきりゲームをやる習慣がなくなったので、「買わないな」と思ったけど。

映画の「グラディエーター」を観たとき、「これはゲームにすると面白そうだなあ」と思った。
私は映画を観るとき、「ゲーム化したら?」という視点で注目することも多い。
同じ素材でもメディアが変われば、異なったエンタテイメント性が生まれることの面白さを知っているからだ。

映画のゲーム化、ゲームの映画化、小説のゲーム化、ゲームの小説化、映画の小説化、小説の映画化・・・
マンガやドラマも、もちろん素材。

小説を読むときにはよく、その映画化をイメージする。
私なら、こんなカメラワークで、こんなカット割で、こんな役者にこんな間合いで台詞を言わせよう。
そういうイメージが頭の中で繰り広げられるので、私の小説を読むスピードはきわめて遅い。
中学の教科書に載っていたヘルマン・ヘッセの「少年の日の思い出」は、当時、特別強く私の映像化イメージに刺激を与えてくれて、国語の授業中、先生の話も聞かず、頭の中に緻密な映画を上映しようとしたことがある。
そうやって私は、イメージの世界に遊ぶのが好きだ。

文章を書くときには、むしろ、その頭の中の映像イメージを注視しながら、それを綿密にリアルに描写するよう、心を傾ける。
ストーリーを咀嚼すること以上に、心の中の有様、感情が持つ表情、それを映像や言葉で再現するのは、とても楽しい。

そんな楽しみ方もある。

そういう意味で、面白い企画だと思うのがexcite booksの「ベストセラー本ゲーム化会議」で、これはタイトルどおり、「世界の中心で、愛をさけぶ」や漱石の「こころ」など、ベストセラーとなった本をゲームクリエイターたちが「もしゲームにするなら」と話し合ってみる。
そのやりとりも面白いし、ゲームクリエイターたちの自由自在の頭の中を垣間見るのは新鮮だ。
ジャンルに関わらずクリエイターは皆そうだと思うけれど、日常生活の中で出会う様々なもののメディア転換を習慣化しているのだ。

それは美しいものに出会って写真を撮ったり、絵を描いたり、音楽にしてみたり、物語を作ってみたりするということ、そのもの。
美しいものに出会ったときの、残したいのは、その感動。
表現媒体は人それぞれだけれど、深い可能性が秘められている。

アカデミー作品賞も受賞した映画「グラディエーター」は、古代ローマの描写が迫力に富み、そこで繰り広げられる戦闘シーンの面白さのみならず、人間ドラマの深みも印象的だった。
とても見ごたえがある作品だ。

友人の作った「グラディエーター」はどんなだろう。(あくまでモチーフが「グラディエーター」なだけで、映画のゲーム化というのとは違うみたいだけれど)
ゲームとなれば、プレイヤーの能動性を活かし、操作によって登場人物に同化していくナチュラルさ、飽きさせないしかけ、引き込んでいく演出、そしてシンプルさと奥行きの絶妙のバランスが求められる。

ただ映像を見せられるだけのゲームでは、そのメディア本来の力を活かしきっているとは言えない。
美大出身のその友人は、昔から「僕はアーティストじゃない。エンタテナーだ」と言っている。
彼がどんな作品を作ったか、久々にゲームを買おうと思う。



グラディエーター GLADIATOR(2000年・米)
監督:リドリー・スコット
出演:ラッセル・クロウ、ホアキン・フェニックス、コニー・ニールセン他


GLADIATOR -ROAD TO FREEDOM-(2005年・日)
発売元:アーウィン(友人の会社、娯匠が開発に関わっています)
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by yukotto1 | 2005-02-27 23:36 | 迫力系映画