生活視点の映画紹介。日常のふとした瞬間思い出す映画の1シーンであったり、映画を観てよみがえる思い出だったり。生活と映画を近づけてみれば、どちらもより一層楽しいものになるような気がします。


by yukotto1
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ディティール-アメリ-


何年か前にブームになったフランス映画「アメリ」。
全編を通じて好みの映画だけれど、ピンと来たのは既に冒頭からのシーン。

主人公アメリが自分の好きなもの、嫌いなものを次々と挙げていくことで、彼女の人物紹介がされる。

たとえばアメリの好きなこと・・・



豆の入った麻袋に手をつっこむこと。
モンマルトルの運河に小石を飛ばすこと。
クレームブリュレの表面の焦げをスプーンで割ること。

こう言っただけで、アメリが少しいたずら好きで、少し一人上手で、少し風変わりな女の子だということがよく分かる。

たとえばアメリのお父さんの嫌いなもの。

連れション。
サンダル姿を人に見られること。
体に張り付いた水泳パンツ。

きっとアメリのお父さんは、頑固で体裁を気にするタイプで、どちらかというと一匹狼的で律儀な性格なのでは、と想像する。

誕生日や血液型を訊くよりは、ストレートに好きなもの、嫌いなものを訊く方がずっと、その人をより正しく、深く知ることができる、と私は思う。
それも、「好きなものは映画と旅行」とかいうんじゃなくて、もっともっと具体的で詳細な話。
プライベートでユニークな話。

つまり、ディティール。

人を知るなら、ディティールを知りたい。
私は人と話すとき、自分を知ってもらうとき、できるだけそういうディティールを話すよう心がけている。
そうすることでずいぶん立体的で曲線的に人物像が語られると思う。

それは、文章を書くときの心がけも同じ。
できるだけ、物事は具体的に書くこと。

そのときの着眼点や表現のユニークさに、個人のセンスがにじみ出る、ような気がする。
そういったコミュニケーションの仕方というのは洗練された大人のタシナミ風で、そこにはちょっとした会話や日常を彩り、出逢いの楽しみを高める要素があるようにも思う。

映画「アメリ」におけるリズム、色合い、人物、設定、あらゆるディティールとそれをまとめあげるもの。
たぶんこの作品は、「その映画のどこが好き?」と訊かれたら、誰でも、とても具体的にそれに答えることができると思う。

「アメリ」は、美しく賑やかなパリの街と、可笑しくて憎めない人々と、色とりどりのディティールの集合体でできているから。

人というのもまた、そんなディティールの集合体に他ならない。


アメリ Le Fabuleux destin d'Amelie Poulain(2001年・仏)
監督:ジャン・ピエール・ジュネ
出演:オドレイ・トトゥ、マチュー・カソヴィッツ、リュフュ他
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by yukotto1 | 2005-03-28 00:30 | ハッピーになる映画