生活視点の映画紹介。日常のふとした瞬間思い出す映画の1シーンであったり、映画を観てよみがえる思い出だったり。生活と映画を近づけてみれば、どちらもより一層楽しいものになるような気がします。


by yukotto1
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3月31日-星降る夜のリストランテ-


3月31日は、毎年少し特別だ。
多くの日本人にとってはそうかもしれない。

人為的にせよ、3月末で「年度」が変わると、この出来事は、様々なことを引き起こす。
時には別れ、時には旅立ち、時には出逢い、時には区切り。

今年の3月31日は、広尾のLA BISBOCCIAでディナーだった。
仕事の一区切りと、新しいメンバーのjoinと、愛すべきボスの卒業を祝うための、チームディナー。



いつもだけれど、ワインが入ると上機嫌な私。
今夜のリストランテはカジュアルで賑やかで気の置けない感じなのだけれど、料理の味はしっかりとしていて、わけもなく笑みがこぼれてしまうような、幸福なお店。

店の一番奥のテーブルを陣取って、その中でも一番隅っこの席でフロアをずっと見渡して、満足な気持ちになる。
右斜めのテーブルも左斜めのテーブルも、送別会か歓迎会か、明るく賑やかな10人以上のグループの客だ。

今日は、3月31日。

様々な人生が大切な日に交錯する。

私たちのボスは、明日で私たちの会社を辞め、新しいキャリアを拓く。
彼の次のステップは、とある外資系ファンドの日本法人立ち上げスタッフ。
本国では大企業のようだけれど、日本ではほんの2~3人からスタートする会社で、一から彼がビジネスを築いていく。
人を雇い、仕事を獲得し、成果を収め、信頼を勝ち得、会社と社会に新しい価値をもたらす存在として、ボスは存分に活躍されるだろう。
彼のキャリアは、私たちのような後進にとって、とても心強い道しるべになる。

私が勤める会社は、転職して入ってくる人も出て行く人も多い。
在籍期間は平均3年ほどで、皆、ここを経て新たなキャリアを見つけ、歩み出て行く。
そういうわけで、人が辞めるとか入ってくるというのは、そう珍しいことではなく、また悲壮感もなく、めいめいが決めた「卒業」というニュアンスが強い。
ボスもまた、転職してうちの会社に入り、6年働かれた古株だ。

実は私は、彼に転職の際の採用面接を受けた。
それが2年半ほど前のこと。
私を迎え入れてくれた人を、今度は送り出す時期が来たことに、感慨もおぼえる。

時間は、驚くほどあっという間に過ぎる。

私がかつて勤めた会社を辞めたのも、2年前の3月31日だった。
最終出社はそれより前でそのタイミングでは年休消化に入っていたけれど、それでも、ああもうこれで決して引き返せないところまで来たのだなと改めて思ったものだ。

6年前の3月31日は、そのかつて勤めた会社、つまりは初めて社会人として働いた会社の入社に臨む前日だった。

さらに4年前は、東京へ行くため、大阪で通っていた大学の退学手続きをした日だった。

そのあいだ、あいだに、いろんなこと、楽しいこと、悲しいこと、悔しいこと、嬉しいこと、いろんなことが詰まっている。
それをともかくひっくるめて、年度末というくくりで、ひとまず、また1年が過ぎ、さらに新しい1年が明日から始まるのだと心する。

人には、そういうリズムが必要だ。

今夜のディナーはすこぶる楽しかった。
生ハム、ホタルイカのオリーブパスタ、パルメザンチーズのリゾット、イサキのグリル、骨付き牛ロースの炭火焼、それからドルチェ。
ワインもたっぷりいただいて、おなかがいっぱいで苦しいほど幸せ。

大好きな映画「星降る夜のリストランテ」を彷彿とさせる、料理と人間模様が鮮やかな夜。
こんなふうに人々の特別なときに立ち会うことのできるレストランとは、なんと幸せな場所だろう。

3月31日、今日は大切な日。

そして明日は、新しいrestartの日。
また、大切な日。


星降る夜のリストランテ La Cena(1998年・伊/仏)
監督:エットーレ・スコラ
出演:ファニー・アルダン、ヴィットリオ・ガスマン、ジャンカルロ・ジャンニーニ他
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by yukotto1 | 2005-04-01 01:51 | 笑える映画