生活視点の映画紹介。日常のふとした瞬間思い出す映画の1シーンであったり、映画を観てよみがえる思い出だったり。生活と映画を近づけてみれば、どちらもより一層楽しいものになるような気がします。


by yukotto1
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挑戦の歩幅-8mile-


ここ数年、いわゆる世に言う「セレブ」っぽい人と知り合う機会が増えた。
端的なのは、勝ち組ITベンチャーと言われる企業の社長連中が多く住まうらしい、六本木ヒルズの住人など。

実際、20代~30代前半でベンチャーの社長や役員を勤める人もいれば、いくつも病院を経営するお医者さんだとか、外資系金融の営業マンで一人で年間何十億も売り上げる人だとか、実はわりと有名らしいアーティストだとか、まあ、いろいろいる。



こういう人たちとの出会いは、それはそれなりに刺激になるし、若くで勝ち上がってきた心意気だとか、独特の個性と自己主張だとか、勉強になることもある。
でも、正直、ちょっと失礼な人も多い。

皆が皆ではなく、そういう人もいる、というだけなのだけれど、初対面から強引に優位をとろうとするというか、こっちの話など一つも聞かないうちから「君はこういう人だ。こういうふうにすべきだ」なんて決めつけたり、いきなり自慢話をまくしたてたりする人がいたりするのだ。

そういう人とのコミュニケーションは本当にストレスフルで、度々ムカッときたり、冷たくツッコミを入れたくなったりするのだけれど、そこは初対面だし、大人だし、と最大限気を遣ってひたすら笑顔を作るようにしている。

「へぇ、そうなんですかぁ」とか「そうかもしれませんね」とか「すごいですねぇ」とか繰り返して、めいっぱい笑顔。
相手から見たら、さぞかし私はアホに映るだろうけど、実際、なんと反応していいか分からないので、笑うしかない。
こういうとき、実際、私ってアホだなあ・・・と思ったりもする一方、相手の余裕のなさを感じないではいられない。

そんなにのっけから主張しなくったって、私はあなたがお金持ちであることも、権力者であることも、才能と運に恵まれていることも、そしてまたすごく努力してここまで来たことも十分知っている。
私なんかよりもずっと果敢に物事にチャレンジしてきた強い人で、常に闘い続ける孤独な人で、でも時には不安に陥ったりすることも知っている。

分かっているから、そんなに無理しなくてもいいのに。
そんなふうでは、自分の成功に対してこの人はまだ自信がないのだな、と相手に勘づかせてしまうだけなのに。

だから、とても失礼で腹立たしい人に出会っても、「彼はがんばっているのだな」とできるだけ好意的に納得するようにしている。
ああいう立場の人は、やっかみや敵が多いから、いつも臨戦態勢になってしまうのも無理はない。
私などは小さな存在とは言え、どこか相手にプレッシャーを与えてしまっている可能性だって否定できないのだから。

一方、新しく知り合う人ばかりでなく、以前から親しい友人の中にも、起業をしたり、成功の頭角を現してくる人が増えてきた。
大学生の頃や、普通の会社員だった頃に知り合い、なんの損得勘定もない関係として接してきた友人たちで、ただ、確かに折に触れ、よく夢を語った。

なんのかたちにもなっていなかった、ただの酒の肴のような夢や憧れが、ぼちぼちと実を結び始めている。
先週末も、今年に入って起業をしたり、ベンチャー役員に転職したりした男友達たちに会う機会があり、なんとなく目を細める気がした。

彼らのビジネスが成功するという保証はないけれど、ただ間違いないのは、彼らは今までの人生とは異なる賭けに出たということ。
30歳を挟む年齢において、新しく、確かな前進。
彼らと知り合って3~4年になるはずだけど、かっこよくなったなあと友人ながら感心する。
そしてますますこれから男を上げて、キラキラかっこよくなるだろう。

世間的に見れば、彼らもスゴイ人に近づきつつあり、これから新しく知り合う人は彼らを最初から成功者として扱うか、あるいは敵とみなすことが増えるだろう。
そんな中で、彼らとて知らず知らず臨戦態勢が板についてしまうかもしれない。

とはいえ、あの失礼な「セレブ」な人々も、たぶん、昔からの友人に対しては違う顔を見せるはずで、そういう意味では、私たちがどんな知り合い方をしたかというのは、想像以上に大きなことに違いない。

白人ラップのスーパースターであるエミネムが、デトロイトの貧民街で育ち、有名になる以前の時代を描いた映画「8mile」。
この映画の好きなところは、くだを巻いて現状を否定したり、安直な成功で浮かれてみたり、要は小さな範囲の現実の中でしか生きていない井戸の蛙のような友人の輪から、一歩踏み出すエミネムの姿。
彼は、高い理想を決して失わず、思い切って孤独を選ぶ。
自分が本当にたどり着きたい場所はどこか、そのために惑わされてはならないものもある。

まだ夜の明けない時間に、スウェットのフードを頭にかぶり、ポケットの中でこぶしを作って進む姿。
それは、物言わずして饒舌な、挑戦の歩幅。

そうして成功者の人生には、孤独が積もっていく。
それは、そういう生き方を選んだということ。

まずはその一歩。
けれど、恐れず進んで欲しい。

等身大のあなたを知っている仲間も、ちゃんといる。
ほんとのあなたを知っている人も、ちゃんといる。
それだけは、本当。

だから、ヤな奴にならないで、自分の成功を純粋に誇り、他者をリスペクトできますように。

さあ、私もがんばらないと。



8mile(2002年・米)
監督:カーティス・ハンソン
音楽:エミネム
出演:エミネム、ブリタニー・マーフィ、キム・ベイシンガー他
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by yukotto1 | 2005-04-30 02:31 | 考えてしまう映画