生活視点の映画紹介。日常のふとした瞬間思い出す映画の1シーンであったり、映画を観てよみがえる思い出だったり。生活と映画を近づけてみれば、どちらもより一層楽しいものになるような気がします。


by yukotto1
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あの頃のために-ジュブナイル-

a0032317_2138211.jpg金曜日の午後7時という時間に、自宅にいることは珍しい。
昼間は新しい掃除機を買いに行き、夕方にはまったりとしたGW1日目、暑かったその日を振り返りながら、随分久しぶりに家で「ドラえもん」を観た。

たまたまテレビをつけていて、懐かしいあのテーマ曲が流れてきたので思わず画面に注目する。
そういえば最近、「ドラえもん」の声優がいっぺんに変わったって言ってたなあ。
大山のぶ代はじめ、26年間も務めた主要な声優が総入替になったと、ニュースで伝えられていた。



ドラえもんの声優が変われば、テレビ朝日系列以外の局でもニュースになる。
それほど多くの人に愛される、永遠不滅のキャラクターと言っていい。
私も幼い頃は、毎週欠かさずドラえもんのアニメ放送を観ていたし、映画もここ数年の作品を除いて大方観た。

インターネットが本格的に普及を始めた1998年当時、ネット上で「ドラえもんの最終回」なるものが話題になっていた。
太陽電池の研究をしているという一人の男性が、イマジネーションだけを頼りに「ドラえもんの最終回」を創作し、ネット上で公開したのが評判になったのだ。

もちろん世の中に、「ドラえもんの最終回」として流布した噂話は数多ある。
けれどその多くは、「実はのび太は植物人間で、ドラえもんはのび太が見ている夢だった」というような暗いトーンであったりする。

そんな中で、このネット上で一気に注目された作品というのは、夢に溢れ、希望に溢れ、「ドラえもん」をより素晴らしいものに昇華させるものだった。
だからこそ、話題をさらったのだ。

公式な物語でもなく、いわばパロディとも言えるその話をモチーフにして、映画作品さえできた。
「ドラえもん」映画ではなく、全く別の実写作品として。

それが、「ジュブナイル」だ。

「ジュブナイル」は、4人の小学生たちがキャンプで謎のロボットと遭遇し、家に連れ帰ることから始まる。
このロボットはドラえもんではなく、自分のことをテトラと呼び、小さくてまるくメカメカしい風貌をしている。

物語はもっぱら劇場版ドラえもんのような、いかにも子どもの心を躍らせるSFファンタジーで、少年たちとロボットと、それに同じ街に住む天才科学者やきれいなお姉さんなどを巻き込んで、やがて地球を襲撃する宇宙人たちとの戦いを描く。

話の突拍子もなさはアニメちっくで、確かに子供向け映画だとは言える。
けれど、この作品、大人の心にもぐっとくるものがあるだろう。
むしろ、大人にしか分からない感覚だと思う。

懐かしさ、切なさ、夢、記憶、過去と未来。

段ボール箱の中で細い鳴き声を上げていた捨て猫を、いたたまれずに拾って帰るような気持ちがする。
お母さんに叱られるのではないかと、こっそりベランダで買おうとするような。

私たちがなんのために様々なものに出逢うのか、出逢うものたちになぜ愛を抱くのか、そんなことを考えたりする。
それが命のあるものでも、ないものでも、子ども時代を彩った愛おしい存在たちを、決して帰らぬ日のことを考えたりする。

時として、過去のために生きるという瞬間もある。
あの頃の、自分のために。

「ジュブナイル」を観ることがあれば、それが「ドラえもんの最終回」をモチーフに作られたものだということを念頭に置いてみると少し違う味わいがあると思う。

まるでドラえもんが、実家の押入れにまだいるような気がしてくる。
長いこと放ったらかしにして、なぜ彼のことを忘れていたのかと、はっとする。

いや、忘れてなんかいないはず。いないはず。

「ドラえもん」の新しい声優。
主要キャラクター役は平均年齢27歳。
長い任期になりそうだ。

幼い頃みた「ドラえもん」に、自分がなるなんてどんな気持ちだろう。
あ、これってまるで、映画を観た人なら分かるだろう、まさに「ジュブナイル」な世界だ。

初代の声に慣れ親しんだ私には、新しい声は、どうしても違和感があった。
けれど、これからの子どもたちにとっては、これが「ドラえもん」の声になっていく。
たぶん私の子どもは、それを「ドラえもん」だと思うだろう。

そうやって、続くのだ。
「ドラえもん」に見守られた私たちが、「ドラえもん」を作る未来まで。


かつて話題になったドラえもんの最終回


ジュブナイル(2000年・日)
監督:山崎貴
出演:香取慎吾、酒井美紀、遠藤雄弥他
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by yukotto1 | 2005-05-01 00:15 | ハッピーになる映画