生活視点の映画紹介。日常のふとした瞬間思い出す映画の1シーンであったり、映画を観てよみがえる思い出だったり。生活と映画を近づけてみれば、どちらもより一層楽しいものになるような気がします。


by yukotto1
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開かれた窓-グッド・ウィル・ハンティング~旅立ち~-

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ものすごくハードな状況が一応の区切りを迎え、また来週から再び忙しくなるのに備える。
ほとんど徹夜が二日続いたので、午前中に報告が終わった昨日は17時前に自宅に帰って就寝。
4時間くらい寝ると、もう随分復活。
久々にブログを書くことにする。(実際にはエキサイトがメンテナンス中で更新できなかったけど)

この仕事、何はさておき体力が必要だと常々思う。

このブログでは一度も述べたことがないのだけれど、私は、いわゆる経営コンサルタントをしている。



世間には色々コンサルティング会社があるのだけれど、私が勤めているのは戦略系と分類される外資ファームで、100人弱のコンサルタントが在籍している。
私のように他業種、他企業から転職してきた人が8割で、新卒入社も2割くらいいる。

コンサルタントって何をやるの?とよく訊かれるけれど、確かに外から見ると分かりにくいかもしれない。
仕事の性質上、私たちが知りうるクライアントの内部事情は社員でさえ知らないような極秘事項であったり、競合に知られてはならない社運をかけた大戦略だったりするため、仕事の具体的なことを世間一般に公表できないという制約がある。
基本的にはクライアント名さえ、公表できない。
だから、業界以外の人が私たちの仕事を具体的に知ることは通常難しい。
知りうるとしたら、私たちを雇ったときくらいだろう。

私たちの仕事を「高級人材派遣」と呼ぶ人はいる。
これは言い得て妙で、大きく括ると確かにそういうことなんだと思う。
やたら報酬が高い人材派遣。(会社がクライアントからもらう報酬が高いんであって、コンサルタントがもらう報酬はもちろんその数分の一にしか過ぎない)

ある日、コンサルタントがやってきて、社内ではこれまで手がつけられなかった課題に対して、まるでそこの社員のように取り組む。
そして数ヶ月間の契約期間で一仕事終えると、去っていく。
それは、冷静に考えると奇妙なものだ。

人材派遣と呼ぶのは、特にうちの会社では、基本的にクライアントの職場に常駐して仕事をする、というスタイルを採っているからというのもある。
つまり、クライアントのオフィスにある会議室か何かを何ヶ月間か借り切って、そこに毎日通勤し、働くというスタイル。
そうすることで、社内情報が得やすくなるし、多くの社員とすぐに頻繁に密度濃くコミュニケーションをとることができる。

コンサルタントなんて外から見て好き勝手なことを言っていると思う人もいるけれど、実際にはそんないい加減なものに立派な大企業がお金を払うわけがない。
過去には有名コンサルタントに法外なフィーを払った上に会社を破綻させたという例もないわけではないけれど、最近はクライアント側が学習してきたこともあり、実効性あるソリューションとその確実な実行の担保が要求されることが増えている。

実効性のあるソリューションにしても、その確実な実行にしても、そんなことは外部の人間の力だけで実現するわけがない。
だから、クライアントとともに考え、意志を同じくしていくためには、常駐スタイルは欠かせない要素なのだと思う。

だったら、そんなことコンサルタントになど頼らずに社員自身がやればいいじゃないかと思うだろう。
確かに、そうできるならそれに勝るものはない。

一番大事なことは、クライアント自身が知っていると私も思う。
けれど、とても大事なことを知っているけれど口に出せない、口には出してみたけれど様々な事情で実現しなかった、そういうフラストレーションを抱えている社員はたくさんいる。
それは、「目の前の数字」「他に兼任している仕事の負荷」「しがらみ」「立場」「入社年次」「上司」「社内の常識」「残業規制」「人材不足」といったどこの企業にもあるキーワードによって阻まれたり、拾われずにいたりする。
私自身、以前勤めていた会社でそんな場面に出くわしたことが幾度とある。
だから、「本当はやりたいけど、やならきゃいけないけど、いろんな事情があって取り組めていないこと」というのに対してサポートをする。
私はそれがコンサルティングだと思う。

クライアント社員の本当に会社をよくしたいという気持ち、そのためのアイデア、それを見つけ出して陽の目をあててあげる、かたちにしていくサポートができる、そんな仕事をしたいと思う。

もちろんうまく立ち回って、自分の好きなように会社をもって行くのが得意な人もいる。
けれどそんな人はごく稀だし、またその人たちがやろうとしていることが常に正しいとは限らない。
立ち回りの苦手な人が真実を握ることもあり、スキルや知見、アイデアや情熱と社内政治のうまさとが一人の人間の中に共存しないことは多い。

良いアイデアがあってもそれを実現できない人はダメであって、そんな奴の意見を聴く必要はないと切り捨てる人がいるかもしれないが、私は違うと思う。
会社は出世競争のためにあるわけではない。
社員に優劣をつけるためにあるわけでもないし、出世競争に勝ってきたかどうかだけで社員の価値が決まるわけではない。
本当に効率的に社内資源を活用しようと思えば、必要なもの、必要な人がどこにあるのか、その本音、実態を見抜いてゼロベースで発想する必要がある。

全知全能の存在が常に正しい意思決定を行っていけるなら話は別だけれど、才能やスキルやアイデアや情熱が個々の人間に分散して存在しており、それを個性と呼ぶ以上、全体にとってプラスを生み出すのは、一律のラインで合格と不合格をつけ競争意識を煽ることでも多数決で決めることでもなく、それぞれが銘々の個性を活かして最大限パフォーマンスを出せる環境だと、私は心からそう思っている。
それを作るための一助を、コンサルタントという仕事が果たせる可能性は確かにある。

担当者のアイデアや想いを一々拾いにいったり、既に決まりかけている案件を差し止めてでも最適の解を探しにいったり、それは、社長にも、一担当者にもできないこと。
発注を受けてレポートを納入するだけの業者にはできないこと。
そんな存在が企業には、特に大企業には必要だと思う。

そうやって活力を得る企業、活力を得るビジネスパーソンが増えるなら、世の中はどんなに豊かになるだろう。
もっと幸せに、もっとやりがいをもって、働くことができたら生きることができたら、この世はどんなに素晴らしいだろう。

コンサルタントの仕事の意義や面白みは、おそらく一人一人にとって違うと思うけれど、私が転職をして2年間この仕事をしてきて、今感じていることはそういうやりがい。
お客さんに、「あなたたちがいて私のやりたかったことができた」とか「やっと決断ができた」とか言ってもらえると、本当に、ほんとうに、嬉しい気持ちになる。
それは、松永真理が「i モード事件」の中で著していたように、そう、「震えるような充実感」。

でも、たぶん私はこの仕事をそれほど長くは続けないだろうと思う。
なぜかというと、そういうふうに決めた、人生だから。

多くのコンサルタントは、いずれ異なる新しい道を進む。
今日も優秀なコンサルタントがまたひとり、私たちの会社を卒業した。
個人に落とし込んでみれば、コンサルタントというのは、一過性のフェーズなのだ。
自らを成長させるためであったり、未だ見ぬ場所への鍵を手に入れるための。

そうして、次に開かれる窓の、その光の差す方へ、来るべきとき出て行くだろう。

そうだな、映画で言うならば、「グッドウィルハンティング~旅立ち~」みたいに。
(ちょっとかっこよさすぎ?)



グッドウィルハンティング~旅立ち~ GOOD WILL HUNTING(1997年・米)
監督:ガス・ヴァン・サント
出演:ロビン・ウィリアムス、マット・デイモン、ベン・アフレック
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by yukotto1 | 2005-06-18 03:27 | ぐっとくる映画