生活視点の映画紹介。日常のふとした瞬間思い出す映画の1シーンであったり、映画を観てよみがえる思い出だったり。生活と映画を近づけてみれば、どちらもより一層楽しいものになるような気がします。


by yukotto1
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歴史の一片-シコふんじゃった。-

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土曜日は朝からオフィスでデスクワークと打ち合わせがあったのだけれど、夕方には切り上げて新宿に向かった。
今日のイベントは、現役力士を囲むパーティ。

4月にお花見をしたとき、友人の一人が「最近、現役力士のプロモーターやってるんだよ」と、聞き捨てならない言葉を口にした。
好奇心が強く掻きたてられて、「なになに?」と訊いてみると、どうやら相撲部屋のタニマチたる人と知り合い、その人から贔屓の力士を紹介されて、若い者どうしでもっと交流して欲しいと頼まれたのだそうだ。



その力士、最近ブログが大人気の東前頭10枚目、普天王関。
先場所では初の敢闘賞に輝き、ブログの効果もあって、一気に人気が高まっている。

実はこのブログ自体、その友人が普天王関に勧めたことがきっかけで始まったもので、それがたちまちのうちに人気を博した。
そもそも現役の幕内力士が、知られざるお相撲さんの毎日のことを綴るというのが前代未聞だし、それが場所中にさえリアルタイムに更新されているのだから、すごい。

しかも内容がなかなか面白くて、等身大の「松坂世代」な感性と文章のタッチ、そして真摯な相撲に賭ける想いなど、読み応えたっぷり。
私も毎日チェックしている。

ブログと、友人が中心となり普天王をサポートする「チーム普天王」の話題は、最近マスコミにも取り上げられていて、勢いづいた彼らは、どんどん新しいしかけを行っている。
その一つが、先日の土曜日、普天王を囲む「どすこい異業種交流会」だったというわけ。

私も声をかけてもらったので、「わーい、お相撲さんに会えるー」とばかりに出かけた。
関取には不釣合いだが、会場は歌舞伎町にあるクラブ。
なんとも不思議な催し。

200人近くの人が集まっていたけれど、自分でも意外なことには、驚くほど知人に出逢ったということ。
もともと共通の友人が声をかけているので、当然といえば当然だけれど、それでも申し合わせたわけでもないのにこれだけ知っている人に次から次へと会うと、改めて自分の電話帳ログを調べたくなる。

ほとんど全ての人が、社会人になってから知り合った人で、名古屋に暮らしていた頃、度々東京に来ては名刺交換をした人のつながりが、ここまでつながってきて、ちょっとは「友だち」と言えるくらいに成長したのを振り返ることができる。
我ながら、財産と言える、大切な人の輪。

皆に「お、yukotto」と、声をかけてもらえる嬉しさ。
なかには「ブログ読んでるよ」とか。
「そろそろ一緒に仕事しようよ」とか。

改めて時間をとって、一人一人の方とゆっくりと近況報告をし合いたいものだ。
でも、そこはお互い、忙しい。
言い訳だって、わかっているけれど。

主役の普天王関は、思っていたよりもっと大きい。
握手を求めたどさくさに、腕を触らせてもらったら驚くほど硬く、お相撲さんが全身筋肉だというのは本当なのだなあと感心する。

そう、彼らの身体は筋肉ですから。
断じて贅肉なんかじゃありません。
私を構成する要素とは、全くもって違いますから!

若干24歳の彼だけれど、年齢を大きく凌ぐ存在感を誇っている。
身体の大きさばかりではない。
やはり一流の存在が醸す、気。

大相撲の世界は、もう数百年も守り継がれる伝統の線上にある。
少しずつルールは変わっているかもしれないが、代々と遡れば、名力士が居並ぶ圧倒的な歴史を自らが受け継いでいくのだ。
やがて、自分自身が歴史になる。

それは、どれほどに意義が深く崇高な仕業だろう。

うちのひいおばあちゃんは、繰り返し「おじいさんは相撲取りだった」と言い張っていた。
おじいさんというのはひいおじいちゃんのことだけれど、父の話によれば、曽祖父は氏子の神社の宮相撲力士だったのだという。
もちろん、年に一度の、豊穣祭の囃子に過ぎない。
けれど、しっかり「羽駒」と四股名がついていて、小兵だがすばしこい個性を見せたらしい。
ひいおばあちゃんはそれを誇らしげに私たちに自慢した。

宮相撲は長年の慣わしで、今でも祭りの重要なイベントだ。
弟たちも、幼い頃、わんぱく相撲に出場した。
それも、また、歴史。

思えば相撲は原始的で、裸になって真円の中、真っ向勝負でぶつかり合う。
その潔さ、正々堂々さ、シンプルさが、長く尊いものを支えてきたのだろう。
長く人々の生活に、息づいてきた。

確かに最近は、相撲をやる人も観る人も少ない。
一時、10年以上前に若貴ブームを迎えたけれど、近頃はこれといって注目が薄く、ましてスポーツそのもの以外の話題で眉をひそめられることのほうが多い。
この現状をなんとかしたい、歴史を受け継ぐものとして、多くの人、若い人に相撲の面白さを知り、楽しんでもらいたいというのが、普天王関とそれを支える人々の想いでもある。

1992年の映画に「シコふんじゃった。」というコメディがある。
後に「Shall we ダンス?」を生み出す、周防正行監督、本木雅弘主演の作品だ。

いまどき(といっても1990年代初期のバブル当時)の大学生が卒業単位をもらうため、義理で潰れかけの相撲部員となり、公式戦で勝ちあがっていくという、他愛もない話。
いかにも時代を映し出したかのようなドタバタさ加減とご都合主義の展開だけれど、相撲とモックンを掛け合わせた妙は、それなりの話題と注目を集める。
気楽な気持ちで楽しみたい。

マイナースポーツと言われる相撲だけれど、よくよく考えたら、外国人よりもずっと大きな日本人が活躍するという点でも、類稀と言えるだろう。
いつか一度、土俵の際でその迫力を体感してみたい。

きっと未だかつてないようなインスピレーションが得られるに違いない。
張り詰めた空気、高鳴る鼓動、静寂から一気に湧き上がるワーッとという歓声。
差し迫る臨場感をおぼえるだろう。そういう予感。

普天王関がきっかけになったのは間違いなく、少しその世界と歴史の一片に関心が高まり始めている。


シコふんじゃった。(1992年・日)
監督:周防正行
出演:本木雅弘、清水美砂、柄本明他
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by yukotto1 | 2005-06-22 01:33 | 笑える映画