生活視点の映画紹介。日常のふとした瞬間思い出す映画の1シーンであったり、映画を観てよみがえる思い出だったり。生活と映画を近づけてみれば、どちらもより一層楽しいものになるような気がします。


by yukotto1
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映画とクルマ-M:I-2-

かつて自動車会社に勤めたことのある私は、街中であれ、軒先であれ、ショールームであれどこであれ、やっぱりクルマには目が行ってしまう。

あのクルマ、かっこいいな、とか。
あのクルマ、ださい、とか。

変な色だな、とか。
あのリヤスポイラー、純正品かな?とか。



タイヤのインチ数が気になることもあるし、ナビが専用設計かどうかが気になることもある。
パワースイッチのデザインとか、トランクルームの広さとか、シフトレバーの位置とか、バニティミラーが運転席側にもついているかとか、余計なことが気になってしまう。

クルマ好きの人がクルマを見る目とはたぶんちょっと違う視点で、私は思わずクルマに目が行ってしまう。

といっても、自分がクルマを所有することにはほとんど興味がない。
運転はへたくそだし、維持費がもったいないし、誰かに乗せてもらって楽チンだなーと思う以上に自分がそれを買おうとは思わない。
東京に住んでいる限りは。

もともとどうして私がクルマ会社に就職したかという方が謎に近く、その会社の内定をもらったときには運転免許さえ持っていなかった。(入社するまでには取った)
本当に、たまたま入社した会社がクルマを作っていた、というに過ぎない。

新人として配属され、某セダン2車種を担当することになったとき、「これが君の担当だから」と渡されたクルマのカタログを見て、私は「一体どこが違うんですか?」と質問して先輩を困らせた。
2種類のクルマが、どうも同じに見えたのだ。
だって、どっちもドアは4枚だし、前と後ろが出っ張ってるし。
それなのに、これらのクルマの値段には100万円の差がある。

「おまえ、全然違うだろ。大体、こっちはセダンでこっちはハードトップだろ」
「ハードトップって、なんですか?」

素人がそんなこと知るわけない。
きっとこのブログを読んでいる人の大方はそんな言葉知らない、はず。

一応解説しておけば、ハードトップというのはドアのガラスの部分にフレーム(窓枠)がないクルマのことで、静粛性、安全性に難があるので現在はほとんどなくなっている。(私が新入社員の頃はまだ結構あった)
参照:Wikepediaでの解説参照:セダンとハードトップの違い

とはいえ、自動車会社の人間で、しかもマーケティングとかをやる部署に配属されて、それなのにありえないほどクルマのことを知らなかった私が、今やそれなりに自動車のウンチクに耳を傾けることができるのだから、慣れというのは恐ろしい。

まず一番気になるのは、そのクルマにどんな人が乗っているか、だ。

「このクルマにはこんな人が乗る」というイメージは、マーケターにとっては仮説の出発点で、それを全ての始まりにして、そのクルマの何を売りとすべきか、どう伝達していくべきか、どんなセールストークでどんな商談ツールで、どんなおまけをつければ売れるか、というようなことを考える。

普通の発想では「えー?」と言われる仮説でも、自分の描いたシナリオが当たったりするとシメタと思うものだ。
たとえば、あるクルマが発売される前に、「この色が売れる」という予測を立てて在庫の計算をして生産の責任を負ったりするのだけれど、それがピタリと当たればこちらはニヤリ。
予測するという側面もあれば、それが売れるように仕向けるという側面もある。

それが面白いところなのだけれど。

で、映画を観ていても、クルマが気になるというのは、確かにある。

そこに登場するクルマを見て「この映画の時代設定古いね。車が古い」と言ったりする知人がいて、「いや、さっき、1950年代ってナレーションあったでしょ」と言うと、「そうだっけ?」なんてとぼけるのだけれど、さすがに私はそんな見方はしない。
純粋に、車そのものが醸し出すものというのは単なる小道具を超えていることが多いし、あるいは最近は映画の中にクルマを登場させるというプロモーション手法が増えてきているので、それを探すのも面白いのだ。

「ザ・メキシカン」でジュリア・ロバーツが乗っている新型ビートルは、どう見てもアメリカの荒野には似合わない、とか、「アメリカン・ビューティ」でケビン・スペイシーはカムリを売り払ってポルシェを手に入れるというのがリアル、とか。
「グラン・ブルー」でジャン・レノが乗っているフィアット500は、シチリアの海に映えてたまらなくキュートでクール、とか。

映画のなかでクルマが印象的に使われて、しかも、そのクルマが非常に魅力的に見えるという意味で成功している代表と言えば、「M:I-2」だと思う。

登場するクルマは、Porsche BoxsterとAudi TT Roadster。
IMFのスパイ役トム・クルーズはポルシェに乗り、魅惑的な女泥棒役サンディ・ニュートンがアウディを駆る。
2台の高級車がスペインのワインディングロードで派手なチェイスを繰り広げ、遂にポルシェがアウディを追い詰める。

急ブレーキをかけるアウディ、回り込むポルシェ。
ジョン・ウーお得意のスローモーションで、2台はフロントを向かい合わせにゆっくりと回る。
まるで、からみあうみたいに。

運転席のトムとサンディの視線もからみあう。
なびく髪がなまめかしく女の顔にまとわりつく。

あえりないことに、クラッシュしながら、そこで恋が生まれてしまう。

で、次のシーンは、もうベッドの上(笑)

笑ってしまうほど大げさな表現だけれど、これが、もう、超セクシーなのだ。
クルマのボディラインや、エンジン音や、ブレーキフィールやタイヤの軋みって、こんなにセクシーなのかと、右脳的にはクルマの価値がさっぱり分からないこの私でさえ、うっとりしてしまう。
「ミッション・インポッシブル」なら断然第一作の方が好きなのだけれど、このシーンだけとってみたら、「M:I-2」も捨て置けないとまで思わせる。

私の、大好きなシーン。

この影響を相当受けて、Audi TT Roadsterは好きな車No.1となり(あくまで観賞用として。欲しいとは言っていない。実際買うなら日本車でしょう、やっぱり)、あの横から見たときの一直線のラインに惚れ惚れとしたりする。

でも、大体乗っている人は、ちょっとヤな人が多いんだよなあ。
ヤな人マーケティングでもしたんだろうか。



M:I-2 Mission:Impossible2(2000年・米)
監督:ジョン・ウー
出演:トム・クルーズ、ダグレイ・スコット、サンディ・ニュートン他
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by yukotto1 | 2005-08-15 22:29 | 迫力系映画