生活視点の映画紹介。日常のふとした瞬間思い出す映画の1シーンであったり、映画を観てよみがえる思い出だったり。生活と映画を近づけてみれば、どちらもより一層楽しいものになるような気がします。


by yukotto1
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緊張-わすれな草-

私はたいていのことには動じないように見えるらしい。
緊張とかいう自然現象とは無縁の人に思われていることも多い。

でも、私も緊張する。
ささやかながら、こっそりと、緊張する。

それでも、人に会うというだけでドキドキしてしまうのは、そんなに多くない。
先週の金曜日は、会うだけでドキドキしてしまう女性とのお食事。



makimiさんとはちょっとしたご縁があり、一年ほど前に知り合った。
直にお会いする前から彼女が綴るブログを読んでいて、その文章から伝わる、なんとも女性らしく繊細で、かつ愛情豊かで芯のある人柄に、すっかり心酔していたのだけれど、お会いしてみれば思ったとおりの優雅な女性で、ますますファンになってしまった。

いわば私の憧れの女性。

なんというか、私が男だとしたら、手の届かない感じの、永遠にプラトニックな憧れの人という感じ。
彼女と金曜の夜に銀座でお寿司だなんて、サラリーマンのお父さんが一大決心で憧れのクラブのママと同伴出勤しちゃうみたいな感じに、ちょっと舞い上がってしまう。

なんといっても特別な人に会うのだからと、待ち合わせの前にネイルに行ってしまったこの気の入りようは、どうだろう、やっぱりなんだかデートみたい。
(そのネイルを彼女のブログでお褒めいただき、また嬉しい)

三笠会館の前での待ち合わせに着くと、彼女がちょうど店内から出てきて「yukottoちゃーん」と手を振ってくれた。
淡い色の装いに、いつもどおりの緩やかな巻き髪が優しく女性らしい印象。
なんと今夜も可憐なんだろう。

ドキドキが高まる。

ほとんど1年ぶりくらいなのだけれど、互いのブログを読んでいるので、話題には事欠かない。
彼女はこの1年のうちに婚約をして、年末には結婚する。
お相手は、前回CICADAで3人でお食事した彼。

どこの誰がこんな素敵な人の心を射止めるのかと思うのだけれど、それが案外身近な人であると不思議な感じがする。
いやいや、もちろん彼もとびきり素敵な人なんだけれど。

おいしいお店をたくさんご存知のmakimiさんが連れて行ってくださったのは銀座の「鰤門」。
秋の味覚ということで、松茸に毛蟹にお寿司もたくさんいただいて、美味しいのでどんどん食が進んでしまうのだけれど、帰る頃になって、「うーん、随分食べたな」とかなりの満腹感。

でももう、お食事もさることながら、カウンターで隣に座ったmakimiさんに終始ドキドキ。
フィアンセの彼は、いつもこんな角度から彼女を見て、鼻の下を伸ばしているのかしら?

彼女と楽しい時間を過ごして名残を惜しみつつ別れ、それから有楽町駅まで銀座の街を歩く途中、ぼんやりと私は「わすれな草」という映画について思い出していた。

香港製のラブ・ストーリーで、かつて一度だけ出逢い言葉を交わすこともなかった、それでいて忘れられない女性を求めて、都会の夜を彷徨う男の物語。
全体的なトーンはpopなのだけれど、なんとも切ない気持ちに包まれる、言葉にすれば瞬時に褪せてしまいそうな愛の物語。

再び彼が、その女性に出逢ったとき、彼はやはり緊張のあまり言葉が出ない。

人の記憶というのは、都合の良いことだけの集合体だろうか。
事実の記憶が全て失われても、感情の記憶だけが残り続けるとしたら、それは、切ない。

誰かに出逢うだけでドキドキとしたことを、フレームに切り取られた写真のように思い出すのは、まだ16ばかりのとき。
人気のないホームで電車が来るまで、わけもなく指先が震えてしまうほど、緊張をして、ただ無言だった。
どうして、ただ誰かに逢うだけで、こんなになってしまうんだろう。

実を言えば、私は最近も毎週のように少しだけ緊張する。
待ち合わせの前や、ドアが開く前や、電話をとる前や、メールを開く前に。
もう数ヶ月、毎週のように続いているのに、それなのに緊張する。
どうして、ただ誰かに逢うだけで、こんなになってしまうんだろう。

makimiさんと逢えた夜は特別。
この夜のことも、わすれな草に願をかけよう。



映画「わすれな草」の宣伝コピー

  しあわせな気持ち

  恋にはいろんなかたちがあるけれど、
  一番素敵な恋はなんでしょう?

  もしかしたらそれは、誰かを想うだけで
  しあわせになれるような恋ではないでしょうか?

  今でも あなたを 想っています
  この気持ち 僕の永遠のたからもの



わすれな草 Down In Smoke(2000年・香港)
監督:イップ・カムハン
出演:ニコラス・ツェー、エリック・ツァン、スー・チー他
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by yukotto1 | 2005-10-04 23:24 | 切ない映画