生活視点の映画紹介。日常のふとした瞬間思い出す映画の1シーンであったり、映画を観てよみがえる思い出だったり。生活と映画を近づけてみれば、どちらもより一層楽しいものになるような気がします。


by yukotto1
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小箱の秘密-いま、会いにゆきます-


いっぱい泣いてしまった。

途中まではあまりにさらりとしていて、このまま終わったらあっけなさすぎると思ったところに、不意打ちに語られ始めた「本当のこと」。

ずっと観たいと思っていたのに、このところ「24」を観るのにはまっていたので見過ごし続けていた「いま、会いにゆきます」。



休日の午後、ビデオを借りて観ることにした。
昨年大ヒットした作品なので観た人も多いだろうけれど、物語の核心がそれほど流布しているわけでないのは意外だ。
私も肝心なところは全く知らなかった。

一般的な触れ込みは、こんな感じ。

妻は夫と幼い息子を残して死ぬ。
雨の季節に戻ってくると言い残して。
そして一年後、約束どおり、雨の季節に彼女は戻ってくる。
ただし全ての記憶をなくして。

彼女が雨の季節にだけ戻ってきて、そしていずれまたいなくなってしまうことは、夫も息子も観客もみんな分かっている。
だからそのこと自体は奇跡ではない。

これ以上の秘密は肝なので、多くを語りたくはないけれど、かなり抽象度を上げて語るとするなら、何が泣けるのかというと、それは人知れぬ想いの強さ。

未来をもしもあらかじめ知れたなら、それが悲劇と知っていて、それでもなおその道を選び取ることは愚かなことだろうか。
おしなべて賢明な選択とは、痛くない道を行くこと。
予防線を張ることが経験知だと、人は教えてくれる。

でも、それでも、宿命に飛び込むほどのなりふり構わぬ情熱が、静かな女性の心のうちにあるとしたら、それをもって、愛と呼ぶしかないのだと思う。
共感と言ってはおこがましいけれど、強くうなづける。胸に沁んでくる。

小箱に隠した秘密から、まばゆく優しい光が漏れる。

彼の腕につかまったまま、涙がとまらなくなった。
この腕の持ち主と出逢うまでの時間と、出逢ってからの時間。
通り過ぎた過去と、これから紐解かれていく未来。

彼はこの映画を観て、私の書く文章みたいだと言っていた。
時間軸の描き方なんかが似ているんだと言う。
そう聞いて、嬉しかった。

最後に残るものの姿を誰しも決して知らないけれど、少なくとも今そこにあるものを信じ、自らを信じることは偉大だ。
言葉になど頼らない確信が、見えないものさえ見せてくれるのではないかと、またもういちど、目をこらす。


いま、会いにゆきます(2004年・日)
監督:市川拓司
出演:竹内結子、中村獅童、武井証
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by yukotto1 | 2005-11-06 21:26 | ぐっとくる映画