生活視点の映画紹介。日常のふとした瞬間思い出す映画の1シーンであったり、映画を観てよみがえる思い出だったり。生活と映画を近づけてみれば、どちらもより一層楽しいものになるような気がします。


by yukotto1
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旬を食す-永遠に美しく・・・-

先日、生まれて初めてすっぽん料理というのを食べに行った。
もともとは彼が「すっぽんを食べたい」と言い出したのが端緒なのだけれど、いったいどこで食べられるのかと調べているうち、「叶姉妹が週に一度は食べている」などという情報に行き当たり、かなり興味津々になってきた。
とにかくコラーゲンたっぷりでお肌プリプリになるらしい。

ちなみに、古典的に言われている「滋養強壮」効果については、食べたことがあるという人にヒアリングしたところ、肉だけではだめで生血や肝を食さねばならないのだと言う。
「なんていうか、食べた後、このままじゃ眠れないから一晩中夜遊びしたくなる感じ」というコメントだったが、それって本当なんだろうかと、また興味津々。



銀座の専門店で「すっぽん一匹コース」と銘打ったすっぽんづくしをいただく。
文字通り、すっぽんを丸々一匹食べつくすようだ。

のっけから、すっぽんの卵をイチゴ酒で飲み、生血をアップルジュースで割って飲む。
卵はもちろん生の黄身。
恐る恐る噛むと苦みが広がった。

生血は見た目的にやばい。
まさに鮮血の色をしている。
自分が飲むのも人が飲むのもぞっとするのだが、思い切ってほとんど目を閉じたまま飲むとアップルジュースの味しかしなかった。

ここまでは、物珍しさ先行。
一度食せば話のタネになる、というようなもの。

その後はお造り。
前足の洗い、脂身、肝、心臓、腸の湯引きと、円い皿にきれいに薄く並べられている。

前足についてはふぐ刺のような歯ごたえと鯉のような淡白さ。
癖がなく、あっさりとして食べやすい。
一方、脂身はポン酢でいただくが、濃厚で味わい深く実に美味。
しつこさは全くないのだけれど、舌の上でとろけるような食感がする。
こういう食べ物が他にあっただろうかと記憶をたどるが、すぐに思い当たらない。

これは、美味しい。
大好物になりそうだが、値段にしても希少性にしても、そうそう食べるにあたわずだろう。

だいたい、私の好物というのは傾向がある。

ピータン、白子、牡蠣、温泉卵、生レバー。
共通するのは、独特のトロリ、ドロリ、しっとりとした食感に、濃厚な味わい。
それでいて後味があっさりとしてしつこくない。

一方、苦手なのは、肉の脂身、焼いたり干したりした果物、クリーム系の生菓子、火を通したレバー、固ゆで卵(マヨネーズで和えればOK)、原型の残った百合根。
後味が脂っぽいもの、甘さが強いもの、口の中でボロボロと崩れるものというのが嫌い。
特に、卵やレバーは調理法だけで大好物にも苦手にもなる。

すっぽんの脂身。
これは見事に「口の中で溶けそうなしっとりとした食感に濃厚な味わい、それでいて後味があっさり」に当てはまる、幸せな出逢いだった。
神様、ありがとう。

それから、すっぽんづくしは、小骨の多い鶏肉のような唐揚とメインの丸鍋へと続く。
唐揚の味が鶏肉に近いのは、ちょうどカエルの肉が鶏肉に近いのと同じだろう。
鶏肉よりもっと淡白で脂が少ないので、私にはよりいい。

丸鍋は、まさしくすっぽんのぶつ切りを透き通った出汁で煮る極めてシンプルなもの。
女将さんが取り分けてくれて、プリプリのゼラチン質を見れば笑みを堪えきれない。

これも非常にあっさりとしていて、モチモチプリプリの歯ごたえが心地いい。
叶姉妹も賞味する、コラーゲンのかたまり。
見るからに体に良さそうだ。

黄金色の出汁は上品で奥行きが深く深く、この後の雑炊が楽しみになる。
様々ある鍋の中でも最高に素晴らしい。
すっぽんの身が終わった後の笹がきごぼうと葱にしても、しゃっきりとした感触を残しつつ出汁がよく浸んでいる。
「美味しいねー」と、何度も何度も言いながら味わった。

雑炊ももちろん、期待を裏切らなかった。
味が薄ければポン酢を足してくださいと言われたが、足す必要なんてちっともない。
お出汁の味だけでお茶碗2杯。
もう随分食べたと思ったのに、「あと少し」と欲張らせてしまう。

少し前、ベラボーに高いフグを食べたらしい彼は、値段は3分の1だけど十分に匹敵する、むしろ上回る美味しさと賞賛していた。
そのベラボーに高いフグも食べてみたいが、それならすっぽん3回のがいいかもしれない。
大いに楽しみにしていたすっぽんづくし、実に満足な晩餐だった。

旬の食べ物というのはいい。
すっぽんは一般に冬から春にかけてが旬らしいが、ちょうどこの季節、冬にしか食べられないものというのは多い。

筆頭はフグ。
それから、私の故郷ではぼたん鍋など食す。
つまり、イノシシ、香ばしくて美味い。
これらは季節を逃すとまともなものは食べられない。
先の「ベラボーに高いフグ屋」は毎年10月~3月にしか営業していないそうだし、ぼたん肉を取り扱う肉屋を調べたらこれも3月末までの販売となっていた。
誘惑が多い季節だ。

だというのに、どんな成り行きだったかは忘れてしまったが、彼と3月末までにお互い3kg痩せるという賭けをしてしまった。
GWに宣言したはずのダイエットは、当然ながら進んでいない。
矛盾している気もするが「ダイエット明けにベラボーに高いフグ」という約束をする。
ダイエットに成功しなかった方が奢らなければならない。

もともとの体重差がある中で同じ3kg痩せるにはだいぶ差があるような気もするが、まあ、私のほうが痩せなければならない余地が大きそうなので仕方がない。
しょうがないので、ホットヨガの予約など入れてみた。
友人に相談すると「岩盤浴」なども勧められたが、ゲルマニウム温浴でもほとんど汗をかけなかった代謝の悪い私が、果たしてホットヨガなり岩盤浴なりの流行モノで痩せることができるのか、それもある意味興味深い。

これはグルメブログではないはずなのに、あまりにすっぽんに感激したので、今回は例外的なほど食べ物のことばかり書いてしまったが、最後に映画のことに触れよう。

肝心のすっぽんの効果についてだが、確かに翌朝の肌の感触はすばらしかった。
まさに、ぷりぷり。
化粧ノリがよく、またモチがいい。
彼は「顔が腫れているみたいだった」と言っていたが、まさにそう思うくらいムチっともち肌になってしまう。
叶姉妹が本当にこれを週に一回食べているのだとしたら、彼女たちの美貌の秘密は確かにそのあたりにあるかもしれない。

それにしても、あの二人は存在自体が謎だ。
年齢的には30代半ばを裕に過ぎているのだろうが、年齢不詳の妖しさがある。
なんとなくあの二人を見ると、「永遠に美しく・・・」という若さと美貌に狂った二人の女性の物語を思い出す。

いわゆる「不老不死の薬」でかつての美貌を取り戻したものの、首の骨を折ろうが銃で撃ち抜かれようが、何があっても死にきれない体になってしまったライバルどうしの女性。
その強欲さをブラックに描くコメディである。

叶恭子が言っていたそうだ。
「だって男子は毎日生まれてくるんですよ。一人の人に執着するなんて理解できませんわ」

こんな発言ができるなんて、たぶん彼女は老いもしないし、死にもしないのだろう。
もしかしたら、もう既に何百年か生き続けているのかもしれない。


永遠に美しく・・・Death Becomes Her(1992年・米)
監督:ロバート・ゼメキス
出演:メリル・ストリープ、ブルース・ウィリス、ゴールディ・ホーン他
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by yukotto1 | 2006-02-05 21:32 | 笑える映画