生活視点の映画紹介。日常のふとした瞬間思い出す映画の1シーンであったり、映画を観てよみがえる思い出だったり。生活と映画を近づけてみれば、どちらもより一層楽しいものになるような気がします。


by yukotto1
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転職その後-アバウト・シュミット-

転職して稼働日4日目。
どうも落ち着かないのは、その退社時刻。
平均19時にはオフィスを出る。

私史上、ありえない。
落ち着かない。

この3年間、電車のある時間に帰宅した方が確実に少なかった。
場合によってはホテル暮らしで、自宅に帰れない日々もあった。

それが、退社時刻19時。
前々職でもここまで早くはなかった。

勤め始めだからかというと、そればかりではない。
同じチームのメンバーはみんな、私より早く帰る。
他のチームのメンバーも、遅かれ早かれ似たような時間に帰る。
19時になって席にいると、「yukottoさん、遅いわね」なんて言われる。



まじか。まじなのか。
こんなことが許されていいのか。

仕事の量に関しては、事務的にこなすべきことは確かに少ないかもしれない。
やらなければならないことのスケールは結構大きいのだけれど、たぶん普通の会社だったらもっと厚い組織だったり、意思決定プロセスが重かったりするところが、ここはそういうのが非常に軽い。
上司というのも同僚に近く、ルールというのもまともになく、結局、自分で自分の仕事を決めて勝手にやるしかないので、無駄に重いことはやらなくていい。
そんなわけで、もちろん結果を出さねばならないというプレッシャーはあるものの、時間的拘束は非常に少ない。
前職とのギャップがあまりに大きく、どぎまぎする。

上司には、「長時間労働とか一切評価しないんで」と宣言された。
その上、今日のランチ時には、「せっかく早く終わるんだし、学校とか行ってもいいんじゃない?」だなんて。

当の上司は、某国立大学の博士課程に在籍中。
今年は仕事のかたわら論文を3本書かなければならないとかで、大変だと言っていた。

そう言われて、私もなんとなくいくつかの大学のMBAコースなんかをネットで眺めたりして、「いやいや、その前に英語だろ」と自らにツッコミを入れてみた。

そう、今度の会社は65%外資系で、上司は外国人。
直上は国籍こそ違えど生まれも育ちも日本という方なので問題はないが、その上のCFOも、そのまた上のCEOもアメリカ人で英語しかしゃべれない。

これはかなり、冷や汗モノの綱渡り。
ついに真剣に、英語に追い込まれるときが来た。

私の生活は、様々な意味で、今、相当に大きく変わろうとしている。

映画「アバウト・シュミット」で、定年を迎えた主人公シュミットが生活の変化に戸惑って、不自然な行動にばかり出て、周りのひんしゅくを買ったり、必要以上の感傷をおぼえたりしていた姿が思い浮かぶ。
私は別に仕事を失ったわけじゃなく、むしろこれから新しいチャレンジが山ほどあることを思い、本格的にわくわくとしてきているのだけれど、それでも夕刻以降のゆとりある時間は、その点でも私に新しい何かを与えてくれるものになるだろう。

慣れなくて、何をしていいのかと手持ち無沙汰に戸惑うが、徐々に徐々に手探りを始める。
どぎまぎするのは、胃の裏っ側をくすぐられるみたいな感覚だ。

とりあえず夕飯など自炊してみたり。
できるだけ根菜を食べるようにしてみたり。

未来の私をかたちづくるものが、ぜんぶぜんぶ、新しい呼吸をしているような気がして胸がはずむ。
過去に生まれ変わった記憶はないけれど、それでも人は、死ぬこともなく何度だって生まれ変われると、そんなふうに思わないでいられない。


アバウト・シュミット About Schmidt(2002年・米)
監督:アレクサンダー・ペイン
出演:ジャック・ニコルソン、キャシー・ベイツ、ダーモット・マローニー他
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by yukotto1 | 2006-02-07 00:03 | 考えてしまう映画