生活視点の映画紹介。日常のふとした瞬間思い出す映画の1シーンであったり、映画を観てよみがえる思い出だったり。生活と映画を近づけてみれば、どちらもより一層楽しいものになるような気がします。


by yukotto1
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上海の宇宙ステーション-2001年宇宙の旅-

a0032317_11548.jpg上海は2度目だが、仕事で来たのは初めて。
前回は学生だったので安宿の宿泊だったけれど、今回はグランドハイアットを利用した。



今、上海で一番ホットなホテル、だそうだ。
聞くところでは、世界で一番高いホテル。
値段ではなく、ビルの高さが。

もちろん値段もそれなりに高い。
普通に泊まると一室3万5千円くらいか。
私はカンパニーレートなので一室2万円。パッケージツアーを使えば、プライベートでもこのくらいの値段で泊まることもできるだろう。
シングルユースではちょっと高いが、もともとツインルームなので、2人で使えばそう高いわけではない。

このホテル、まずロビーが54階。
初めて訪れた人は、例外なく感嘆の声を上げる。これ、本当。例外なく。
少し怖いくらいの高さだ。
上海の夜景が遥か下のほうに見えている。
連れの先輩は、思わずビルの耐震構造の心配をしていた。
その気持ちも分かる。
でも、上海には地震はほとんどない。

内装はシンプルモダン。落とした照明。
日本のハイアットと同じならば、インテリアは全てコンランのはずだが、なるほど落ち着いた、センスの良い趣だ。
およそ中国とは思えない。

チェックインして客室までエレベーターに乗る。
73階で降りてコリドーを回ると、ふたたび息を呑んだ。
「すごーい!」

ロビーの脇にあったカフェテリアを中心に、その上空ははるか最上階の天井まで、およそ30階分の吹き抜けである。
ロビーよりワントーン白い照明が、吹き抜けを囲む各階ぐるりの回廊を昂々と照らし、それは眩むような明るさ。
昼とも夜ともつかない。

まるで、宇宙ステーションだ。

わくわくするとは、このこと。

客室の一つ一つは、蜂の巣のセルのように宇宙ステーションの壁に埋め込まれている。
人は皆、働き蜂のようにセルに消えていく。
見上げても、見下ろしても、偉大なコロニーに抱かれる、小さな子供のような気持ちになる。
女王蜂はどこに住んでいるのだろう?

巨匠の名作、「2001年宇宙の旅」を思い出した。
映画のストーリーというよりは、そのイメージ、鑑賞中の気分のようなものを思い出した。

宇宙っていうのは、ああいうふわふわ感というか、かすみやくすみの中にあるような気もした。
ワルツ、あるいは無音の。

モノリス以降の終盤部はやはり理解できなかった。
理解できなくてもよいのかもしれないが、それにしては長かった。

あれをずっと観ている間、観客は何を考えるのだろう。
あの長い時間のうちに、観客が観るのは、おそらく映画ではない。
もわーっとしたかすみのようなイメージの中で、意識は、過去や、未来や、かたちのあるもの、かたちのないもの、生きているもの、死んでいるもの、まだ生まれてさえいないもの、あらゆる個人的かつ普遍的な対象へ注がれていくのではないか。
その果てしない意識の旅を、宇宙の旅と呼ぶのだろうか?
かの偉大な映画作家は、そんな旅を現に体感させるところまで計算しつくしてこの作品を生み出したのだろうか?

上海の宇宙ステーション、まるであの映画と同じだ。
遥かなる行き先知れずの旅が、めまいのような不安を与え、同時に、私をわくわくとさせた。

映画としては、必ずしも好きでない。
命よりも長い旅に酔ってしまったからかもしれない。


2001年宇宙の旅 2001: A Space Odyssey(1968年・米)
監督:スタンリー・キューブリック
出演:ケア・ダレー、ゲーリー・ロックウ ッド、ウィリアム・シルベスター他
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by yukotto1 | 2004-06-30 11:20 | アートな映画