生活視点の映画紹介。日常のふとした瞬間思い出す映画の1シーンであったり、映画を観てよみがえる思い出だったり。生活と映画を近づけてみれば、どちらもより一層楽しいものになるような気がします。


by yukotto1
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言えない秘密-あなたになら言える秘密のこと-

ここのところ、しばらく会っていなかった友人からの連絡が続いている。
先週1週間のうちに、5人から突然のお誘いがあって、10月の残りの週末の予定がきれいに埋まってしまった。

会えば、報告もあり、相談もある。
ただなんとなく、という人の真意さえ、その背景にはきっとなにかある。

人の話をきく。
私は、それに直接の意見はしない。

ただ質問を繰り返す。
たくさんの質問をする。

それから、まったく別の、自分の話をする。
人から聞いた話をすることもある。

そうすることで、ようやく友人は核心を語り始める。
本当は語られたがっていた、小さく硬い、胸の核。



私たちは、それなりに年をとった。
もう、いい大人で、責任のある仕事や、守るべき家庭をもっている。

私は結婚をしたことがないし、子供をもったこともない。
だから、その幸せも悩みも、想像でしかない。

ただ私は、どんな状況にあっても、自由でいたいから。
結婚しても、子供をもっても、年をとっても、寿命が近づいても、自由でいたいから。

他人や身内や、過去や未来。
執着や不安や、恐怖や嫉妬。
そういう一切から自由に。

本当に大事なものを大事にできるかどうか。
ただ耐えるばかりの人生なんて、決して選んではいけない。

それが確信の選択である限り、あなたは自由だし、それが単なる忍耐に過ぎないのなら、残りの人生は、ひたすらにつらいばかりでしょう。
せっかく生まれてきたのなら、できる限り多くの一瞬を幸せに生きたいと思うな。

「元気が出てきたよ。元気な君と話すと、いつも元気になる」

たぶん5時間近く話した後、彼は最後に笑って、握手を求めた。

誰にも言えない秘密がある。
口にした瞬間、深い深い暗さが、存在を飲み込んで、溺れてしまいそうなこと。
砂の城のごとく、無残に崩れてしまうこと。

言えない秘密は、言いたい秘密。

明るく穏やかな友人の陰に、そんな秘密を感じ取ったとき、私は小さくノックしてみる。
右から叩いたり、左から小突いたり、裏からなでたり、表からさすったりする。

いろんなことはつながっている。
無関係なようなことも、根っこは同じだったりする。

心理学には、自己開示の相互性というものがあるが、まさに秘密とは等価に交換されるものだ。
言えない秘密もないような人は、他人の秘密を聞くことができない。
自分の痛みから目をそらしている人は、人の痛みを介錯することができない。

「あなたになら言える秘密のこと」
作中、ハンナが語り始めたのは、その聞き役の痛みに、自分を重ねたからだろう。

分かち合うとか、理解しあうとか、安っぽい言葉はいくらでもあるけど、ただそうやって、注意深く木片に彫刻することで姿を見せる真実があって、最後にそれに一緒に出逢えたら、それだけで嬉しいじゃないですか。
私たち、とてもいい時間を過ごしたねと、そう思えるじゃないですか。

それ以上でも以下でもない。

そういう瞬間の集合体こそが、すべてなのだから。

あなたになら言える秘密のこと(2005年・西)
監督:イサベル・コイシェ
出演:サラ・ポーリー 、 ティム・ロビンス 、 ハビエル・カマラ 他
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by yukotto1 | 2009-10-12 01:35 | ぐっとくる映画