生活視点の映画紹介。日常のふとした瞬間思い出す映画の1シーンであったり、映画を観てよみがえる思い出だったり。生活と映画を近づけてみれば、どちらもより一層楽しいものになるような気がします。


by yukotto1
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雨の日曜日-青いパパイヤの香り-

二週間前はテニス。今週はBBQ。
雨のせいでお流れになった日曜日の約束。

秋の気配の呼び鈴になるような、雨の日曜日。
こういう日に思い起こすのは、ベトナム映画「青いパパイヤの香り」。

静かな、とても静かな映像と音。
主人公は寡黙だ。
何を問いかけられても、首を縦か横に振るだけ。



貧しい生まれの少女が祖母から料理を習う。
やがて少女は若い金持ちの音楽家の下へ奉公に出る。
彼女にできるのは、愛をこめ、心遣いに満ちた料理を作ること。

青いパパイヤを細い千切りにする。
丁寧に、サクサクと切る。
少し苦味のある、胡瓜のような味。
火を通すと冬瓜のような若干もっちりした幸福な歯ごたえがある。

パパイヤと伏し目がちな視線の少女の、熟れきらない沈黙。
次第次第に惹かれていく、洗練された音楽家の情熱。
ゆっくりと静かなコミュニケーションが始まる。

私はと言えば、予定がなくなったので、今日はジェイク・シマブクロのウクレレを聴きながら過ごす。
雨の日に似合う、物憂げな弦の軋み。時に軽やかな弾き。

夜は何か映画を観ようか。
懐かしい人に電話しようか。

秋は想いが深くなる。
凛とした空気に刺激されて、自分でも驚くような、潔さも生まれる。
無我夢中の暑い夏がやがて冷静さを取り戻し、少し大人になるような気もする。

青いパパイヤも熟れていく。
新しい季節が楽しみだ。

今、電話が鳴った。
知人が休日出勤の帰りに、お茶菓子を持って、うちへ立ち寄ってくれると言う。
「どうぞどうぞ」と歓迎する。

一緒にハワイアンを聴きながら、雨の日のおしゃべりを楽しもう。


青いパパイヤの香り The Scent Of Green Papaya(1993年・仏/ベトナム)
監督:トラン・アン・ユン
出演:トラン・ヌー・イェン・ケー、リュ・マン・サン、グエン・アン・ホア他
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by yukotto1 | 2004-08-29 16:58 | アートな映画