生活視点の映画紹介。日常のふとした瞬間思い出す映画の1シーンであったり、映画を観てよみがえる思い出だったり。生活と映画を近づけてみれば、どちらもより一層楽しいものになるような気がします。


by yukotto1
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YESのスタンス-イエスマン”YES"は人生のパスワード-

紀伊國屋跡にできた「Ao」というビルのイルミネーションが、宵口の青山通りを照らしている。
表参道は、落ち着きがあるが若々しさもあって、実に品のいい街だ。
上等とか、洗練とかいった、人が憧れる要素がたくさんある。

そのムードを自分のものと思える人は、どれくらいいるだろう。
私にとってそれは、背伸びしてほんのちょっと足りないくらいの位置にあって、憧れはするが、馴染みにはならない。
そして、それが収まりの良いバランスのような気がする。

ドトールの2階でホットティーをすすりながら、私はさっき聞いた占い師の話をおさらいしていた。

占いは信じない。
雑誌の最後のページや、朝のテレビのその日の運勢も、一応チェックするけど、すぐ忘れてしまう。
今年の初めに引いたおみくじが「凶」だったことも、5分で忘れて、今の今まで忘れていた。

だから、昨年のゴールデンウィーク直前、友人が「すごく当たっててびっくりした」と興奮ぎみに彼女のことを薦めてくれたときも、「まさか」と思ったし、すごく興味をもったわけじゃない。
けれど、気づいたら、その占いの予約を終えていた。



同じような感覚で、コーチングやカウンセリングを試したこともある。
内容も知らずに、芝居やコンサートのチケットをとってしまう。
深く考えずに富士山に登ったこともあるし、旅先で、見知らぬ中国人や見知らぬアメリカ人や見知らぬイタリア人に食事をおごってもらったこともある。
乗せられて、7mの岩の上から川へ向かってダイブまでしてしまう。(そして怪我をする)

私の趣味や関心に一貫性がないとしたら、一つは好奇心が強いから、一つは思いつきをすぐ行動に移すタイプだから。
そして、どんな提案に対しても、ほとんど条件反射で「YES」と言う癖があるから。
(やっかいなことに、本当にYESと言いたいときに限って素直にYESと言えないことがある)

ジム・キャリー主演の「イエスマン"YES"は人生のパスワード」という映画を観ると、ちょっと私みたいだなと思った。
あらゆることに消極的で"NO"と反応していた主人公は、あるセミナーをきっかけに、呪いにかけられたように、すべてのことに"YES"と答えるようになる。
その「呪い後」の彼に、私はちょっと似ている。

他人からはそれを「無鉄砲」「無防備」「向こう見ず」「危機管理能力がない」などと言われてしまう。
実際、危険な目に遭うこともあるわけで、あんまりやりすぎはよくないかもしれない。
誘われたら都合がつく限りOKしてしまうので、予定がいっぱいで、頭がごちゃごちゃになったり、ヘトヘトになることもあるし。

でも、基本的にはいいことのほうが多い。

新しい経験が増えて、世界が広がるし、自分自身が広がる。
「人生は、わらしべ長者」みたいなもので、一つの新しい出逢いが、次の新しい出逢いを連れてくる。
最初の出逢いにチャレンジしてみなければ、次の出逢いは訪れない。

映画「イエスマン」でも、最初のYESをきっかけに、カールは偶然、魅力的なアリソンと出逢い、また別のYESをきっかけにアリソンと再会した。
いつものようにNOだけを続けていたら、彼は誰にも出逢わなかったし、その後ずっと寂しい日々を送ることになっただろう。

だから、YESはいいことだと思う。
たぶん。おそらく。

10ヶ月前、気がついたら予約していた占いで、占い師が言った一言は、これまでの私が少なくとも20年以上持っていた小さなこだわりを一瞬にして消し去ってしまった。
彼女に出逢わなければ、その変化は、まだまだ私に訪れなかったと思う。
私は、その変化を、最初は戸惑いながら、やがて心から歓迎した。

消えてしまった後になると、どうしてそんなことに自分がこだわっていたのか、もう思い出せない。
その変化のおかげで、生活自体が変わって、その後の10ヶ月が変わったのだ。

人はどこへ行っても、自分の心と呼応するものを探しているだけだから、誰の言葉からも自分が聞きたいことだけを聞き、欲しい言葉だけを選んでいるのだと思う。
探しているものがどこにあるか、いつ出逢うか、どんな色やかたちをしているか、それはあらかじめ分からないけれど、きっと部屋に一人でいるだけでは見つからないだろう。

10ヶ月ぶりに、今度は誰かの薦めでなく、自分の意思で同じ占いを予約した。
自分が何かを求めているような気がしたからだ。

好奇心と警戒心の入り混じったところで、人と人が距離を近づけていくためには、「丁寧にやること」が大切。
占い師は、ひとつもそんなことを言わなかったのだけれど、彼女との会話の最後に、私がたどり着いた答えはそういうことだった。

利害や損得を意識する前に、まず信頼を築く。
相手に騙されるかもしれないとこちらが恐れている限りは、相手の警戒心も消えない。

信頼を得るには、まず信頼を与える。

それはとにかく、丁寧にやること。
ひとつの言葉、ひとつの仕草、ひとつの表情でさえも。

仕事も家族も恋愛も友達も、あらゆる人間関係において、そう。
最近、相手を警戒する気持ちが勝って、丁寧にやることを忘れていたと反省した。

翌日、それを意識して過ごしたら、とても気持ちよかった。
心なしか接する相手の態度にも変化を感じて、少し距離が近づいた気がした。
夜眠るとき、満足だった。

こういうのもまた、YESのスタンスなのかもしれない。

相手を変えようとするのではなく、自分を変える。

変化が、またこの先の生活を変化させていく。
そうやって人生は、「わらしべ長者」のように展開していく。



イエスマン”YES”は人生のパスワード Yes Man(2008年・米)
監督:ペイトン・リード
出演:ジム・キャリー、テレンス・スタンプ、ズーイー・デシャネル他
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by yukotto1 | 2010-01-31 01:38 | 笑える映画