生活視点の映画紹介。日常のふとした瞬間思い出す映画の1シーンであったり、映画を観てよみがえる思い出だったり。生活と映画を近づけてみれば、どちらもより一層楽しいものになるような気がします。


by yukotto1
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カテゴリ:本( 25 )

新宿南口のGAPの前で待っていた。
雨が止んで、また降り出しそうな、微妙な宵の口だった。

丸の内線が事故か故障で動かないからと、彼は二駅分、歩いてくると言う。
新宿御苑に住んでいるらしい。

待っている相手は、中学の同級生だ。
1年と3年は同じクラスだった気がするが、2年はどうだっただろう。
3年間ずっと同じクラスの人が一人だけいたと認識していたが、ひょっとすると、彼がその人かもしれない。

まじめで勉強のできる男の子だったが、最大のアイコンは、学年唯一の「医者の息子」だということ。
田舎の公立中学なので、開業医の息子なんて、学年に一人いればいい。
地元の人なら誰でも知っている、内科医院の次男坊で、みんな勝手に、彼は将来医者になるだろうと踏んでいた。

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by yukotto1 | 2009-02-02 01:20 |

菊花抄-枯野抄-

わずかな刺激で崩れ落ちてしまいそうな白く細い花弁のかたまりを、両手のひらで注意深く包みながら、そろそろと列に連なって歩く。
二歩前をゆく、艶のない黒い背広。
頭と心の内側で、整理のつかない想いが現れては消えて、横切っては立ち昇る。
遥かな現実感が雲と混じり合う、淡い秋の空。

それは、ある人のお葬式のことだ。

仕事上の付き合いだったけれど、初めて会ってから1年近くになっていた。
関西弁でよくしゃべる、調子がよくて情に厚い、陽気なおじさんだった。
その調子の良さが、あるときは安堵になり、あるときは軽薄にも思えた。
普段意識もせずに接している間は、少々疎ましくさえ思うことがあったけれど、いざその人がこの世からいなくなってしまったと思うと、今さらに自分の態度を悔いてみたり、咎めてみたりする。
その人の良いところばかりが、記憶に浮かんでくるものだ。

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by yukotto1 | 2007-10-12 19:02 |
「僕、活字中毒なんですよ」
ぱっと見は、活動的で人懐っこく、いかにもやり手の営業マン。
けれど、会話の端々に、幅広い知識と物事の本質を見る知性を感じる。

その理由の一つが、自称「活字中毒」の習慣にあったとは、意外でもあったし、なるほどとも思った。
どういう本を読むのかと訊けば、「なんでも」なのだという。

話題の新書も読むし、自己啓発本も読む。
ビジネス書でも、小説でも漫画でも雑誌でもいい。
本当にどんな本でもいいらしく、それは「一人の時間がもったいない」からなんだそうだ。
一人で食事するときとか、電車で移動するときとか、何もしていない時間がもったいないと感じて、いつでも鞄に本を忍ばせ、束の間を惜しんでそれを読む。
特段共感するわけではないが、そういう気持ちも分からないではない。

「何かいい本ありませんか?」

そう尋ねる表情は、「何か食べるもの持ってませんか?」とでも言うような、ちょっとした飢餓感めいたものがあった。
「なんでもいいんです。なんでも」

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by yukotto1 | 2007-10-11 00:09 |
見上げれば、本格的に夏の空。
蒸し暑い日本の夏だ。

ぬるくなりかけた缶チューハイをもう一口飲み、橋脚にもたれたまんま座り込んだ。

「BBQの後って、なんでこんなに疲れるんだろうね」

足場の悪い砂利だらけの河原で、椅子もテーブルもなく立ちっぱなしで、昼から夕方にかけての中途半端な時間帯に、噛み切れない肉と味の薄い焼きそばを食べる。
友だちに誘われて来たけれど、初対面の人ばかりで自己紹介が少々億劫だったりする。
主催者は六本木のバーのオーナーだそうで、その店の常連客がめいめいに友だちを連れて集まったらしい。
本来は特に共通点のない人ばかりだから、しかたなく会話は、きわめて一般的な話から始まる。

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by yukotto1 | 2007-07-25 22:47 |
好きな有名人を挙げるとするなら、私がはっきり言える人は二人だけだ。

イチローと松本人志。

この二人に関しては、好きというか憧れというか、シンパシーというかジェラシーというか。
表現しがたい、何かしらスペシャルな感情を抱く。

いわゆるファンというのとは、ちょっと違う。
ファンはファンだが、別に追っかけでもないし、彼らの試合やライブに足を運ぶだとか、カレンダーを買うだとかするわけじゃない。
愛用のバットにも、ホームランボールにも、コントの台本にも、直筆サインにも興味はない。
そういうんじゃない。

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by yukotto1 | 2007-04-26 03:34 |
どちらかと言えば、少女漫画より少年漫画を好んできた。
年の近い弟が二人もいるせいで、彼らが毎週買ってくる漫画雑誌を回し読みしていたからだ。

一番よく読んだのは、やはり週刊少年ジャンプだ。
小学生の頃には少年漫画の代名詞「ドラゴンボール」をはじめ、「キャプテン翼」「キン肉マン」「北斗の拳」「シティハンター」「聖闘士聖矢」といったテレビアニメ化もされたヒット作が連載されており、毎週楽しみにしていた。

週刊少年ジャンプは、1991年に600万部、1995年に新聞朝刊紙を超える650万部を発行したというから、そのメディア力はすさまじいものがある。
年齢別人口統計によると、1995年当時の全国10~19歳の男子数は820万人。
ざっと計算するに、その80%が読者ということになる。
同世代男子の人格形成に、ジャンプが果たした影響は計り知れない。

私がジャンプを欠かさず読んでいたのは中学生くらいまでで、漫画に興味がなくなったというわけではないが、さすがに高校生になると、なんとなく弟の部屋に勝手に入って、そこらへんに転がっている漫画を拾って読むということも減った。
あるいは、高校受験あたりのタイミングで、毎週のように漫画を読む習慣が途絶えてしまった、というのもあるかもしれない。
明確な理由は自分でもよく分からない。

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by yukotto1 | 2007-04-23 20:29 |
きっかけは、11月のはじめに原宿の美容院に出向いた際、たまたまラフォーレ原宿の前を横切ったことだ。
1階のエントランスの前、10時頃には長蛇の列ができていた。
10代の女の子が多い気がするが、若い男性も混じっている。

その日、そこで開かれていたのは、若手漫才コンビの日本一を決める年に一度のイベント「M-1グランプリ」の2回戦だった。
髪を切った後ラフォーレ原宿の前まで戻り、なんとなくホールのある階まで上がってみると、階段の踊り場で壁に向かって何組もの若者が「ネタ合わせ」に励んでいるのに出くわした。
プロのライブという雰囲気ではなく、インターハイの地方予選に来たみたいな感じがする。

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by yukotto1 | 2006-12-10 22:30 |
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ニューヨークでは、「それ何日間で?」と訊かれるほど多くの予定をこなした。
これは私の旅のスタイルとはちょっと違うのだけれど、なにせ短い日程で、当初思っていたよりずっと多くのやりたいことが見つかったので、結果的に相当詰め込み型の強行スケジュールとなってしまったのだ。

世界最高峰のコレクションが収められた数々のMuseumはニューヨーク観光の目玉の一つだが、ただ、Museumめぐりには時間がかかることが難点だ。
広い館内を観てまわるだけで数時間必要だし、入館するまでの長い行列も覚悟しなければならない。
友人とも相談した結果、他にもやりたいことが盛りだくさんのこの旅で、Museumは一つに絞ろうと決めた。

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by yukotto1 | 2006-11-06 00:37 |
これもまた少し前の話になるが、5月の連休に入る直前の晩、銀座で友人と食事をした。
その友人というのは、昨夏にパークハイアットスイートルームお泊りという暴挙に出た「悪友」だが、殺人寸前の忙しさで働く彼女が再びリクエストした「たまの贅沢」シリーズということで、今回はシャネルビルの上、「ベージュ東京」でのディナー。

「ベージュ東京」は一昨年末に銀座にオープンしたフレンチレストランで、世界的に有名なシェフ、アラン・デュカスとシャネルがコラボーレートした店として一躍話題をさらった。
パークハイアット宿泊に比べれば格段に安いが、そうは言っても、あんまり女ふたりで行く場所ではない。
しかしながら、不似合いな場所に赴くというのは意外と楽しいもので、ビジネスディナー以外で来ることは滅多にないグランメゾンで、仕事帰りに女友達と軽く待ち合わせ、なんていうシチュエーションがむしろくすぐったい。

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by yukotto1 | 2006-06-28 01:32 |
私は本を読むのが遅い。
今読んでいる文庫にしても、最初に手をつけたのは4月の終わりだから、300ページ余りを読むのにもう1ヶ月かかっている。

それは確か土曜日で、ランチにカルミネのピザを食べようと目白駅で待ち合わせをし、約束の時間ちょうどに彼に電話をしたら、昨晩も遅くまで働いていた彼はその電話で目覚めたのだ。
仕度をして電車に乗って来るとしたら、どんなに早くても1時間は遅刻するだろうと踏んで、迷うことなく私は本屋に直行した。
その1週間前に「陰日向で咲く」を読んでいて、なんとなく小説が読みたい気分が高まっていた。

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by yukotto1 | 2006-06-01 00:54 |