生活視点の映画紹介。日常のふとした瞬間思い出す映画の1シーンであったり、映画を観てよみがえる思い出だったり。生活と映画を近づけてみれば、どちらもより一層楽しいものになるような気がします。


by yukotto1
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カテゴリ:ぐっとくる映画( 44 )

嫁にゆく-秋刀魚の味-

いまどき「お嫁にゆく」なんていう表現は古めかしすぎるかもしれない。
結婚は当人同士の問題だし、親が家がと言うのはナンセンスだ。

けれど、彼女の結婚に限っては、「お嫁にゆく」という表現がしっくりくる気がするし、彼女自身の慎ましさや折り目正しさといったものは、そんな古式ゆかしい香りがして、それが白い衣装に包まれたなら、まさに絵に描いたような「お嫁さま」ができあがる。

友人の一人は、由緒も正しい家に一人娘として生まれ、大切に大切に育てられてきた。
ご両親が子どもを諦めかけた頃に授かった娘なので、待ち望まれた子としてふさわしい名前がつけられた。
7年前、彼女と知り合って間もない頃に、その名の由来を聞かせてもらったのだ。
彼女の親しい友人なら、みんなその話をしっている。
とにかく彼女は、家族のこと、ご両親のことを、ことあるごとに話すからだ。
そういうときの表情は、いつも優しく愛に満ちている。

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by yukotto1 | 2007-05-20 23:40 | ぐっとくる映画

地球は回る-バベル-

欲深い人間は、天に向って高い高い塔を建てた。
神の住む国まで達する、高い高い塔を建てた。

しかし、それは神の怒りに触れた。
神は、その愚かな驕りを戒めんとし、人間たちの言葉を7つに裂いた。

そのときから、私たちの間には互いに通じ合えない隔たりがそびえた。
もどかしい孤独の淵。
届かない、伝わらない、言葉、心。

「21g」を生み出した監督アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥが、またしても時間軸を壊した複数人物たちの物語を、巧みにして大胆に描き上げた、映画「バベル」。
主要な役どころである菊池凛子がアカデミー助演女優賞にノミネートされたことで、一躍話題をさらった作品が、遂に日本でも封切られた。

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by yukotto1 | 2007-05-01 00:36 | ぐっとくる映画
高校生のとき、父も同席した、ある集まりの場でちょっとした思い出話を披露して、その拍子に涙がぽろぽろとこぼれてしまったことがある。
みんなの前で、ほとんど無意識に、瞬間的に、涙があふれてとめられなくなった。

その帰り道、父は車の中で私にこう言った。
「お前は感受性が強すぎるから、心配なんや」

そのとき私は、父は私が人からヘンな目で見られることを恐れているのかと思った。
もしそうだとしたら心配することはない、そう思った。

でも、そのとき父が心配したことの意味が、今なら、よく分かる。

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by yukotto1 | 2007-01-25 01:19 | ぐっとくる映画
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毎日同じだった。
誰かが目を上げ彼女を見る。

理解できないことだ。
船には1000人を超える乗客が乗ってた。
金持ちの旅行者、移民たち、得体の知れぬ連中、おれたち。

それなのにいつもたった1人だけが、最初に『彼女』を見る。
何かを食ってたりデッキを歩いてたり、ズボンのベルトを締めてひょいと海のかなたに目をやった一瞬『彼女」を見るのだ。

彼はその場に立ち尽くす。
高鳴る胸の鼓動。
そして誓ってもいいが皆同じことをする。

皆のいる甲板に向き直って、声の限りに叫ぶ『アメリカだ!』


それは、最も敬うべき映画人の一人、ジュゼッペ・トルナトーレ監督の「海の上のピアニスト」における冒頭のシーンだ。
イタリア移民をごっそり乗せた巨大な客船が、アッパー・ニューヨーク・ベイに差しかかる朝、霧の先に姿を現す「彼女」。
最底辺の三等客室で長く辛い航海に絶えてきた移民たちが、たった一つの希望の光を遂に見出す。
憧れた自由の大地、全身を震わせて「アメリカ!」と叫ぶのは、彼だけではない。
そこに居合わせた全ての者が歓喜に湧き立つ。

スクリーンを見つめる、観客もまた。

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by yukotto1 | 2006-11-03 18:28 | ぐっとくる映画
土曜日は、以前からどうしても観たかった映画を観に出かけた。
その作品は、渋谷の宇多川町にあるアップリンクXという映画館で土日のレイトショーでだけ上映される。

方向音痴の私が、例によって迷いながらたどり着いたのは、マンションの一室と呼ぶのが決して大げさではない場所だった。
「日本一小さな映画館」という雑誌記事の切抜きが、部屋の外の廊下に貼ってあった。
広めのワンルームといった空間に、スクリーンは幅2mほどだろうか、映写機ではなくプロジェクターで映し出す。
視線に段がつくように座面の高さが違う様々なかたちのソファが30ほど並べられた大雑把とも言える空間は、むしろ、あたたかみがある。
映画好きの金持ちの友人宅に来たみたいな感じだ。

そこに足を踏み入れただけで、くすぐったい満足が、みるみると体を満たしていった。
一番乗りだった私は、最も上等に陣取った中央のソファに腰掛ける。
こんな隠れ家にデートなんかで連れてこられちゃったら、私、正直、まいっちゃうな。

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by yukotto1 | 2006-10-29 16:53 | ぐっとくる映画
熱いコーヒーを飲みたくなる季節が巡ってきた。
その日の天気予報は、10月中旬の気温だと告げていた。

通勤電車にはストールを巻いた女性が多かった。
私もちょうどでかけるとき、ジャケットを羽織るかストールを巻くかどうしようと考えて、雨が冷たそうだったからジャケットにした。

気温や天候に合わせて飲むものや着るものを変えるのは、当然と言えば当然だけれど、そこに人の息づかいというか、快適に暮らすための知恵というか、あるいは大人のたしなみといったものを、さりげなく感じる。
子どもの頃は、年じゅう半ズボンやミニスカートを履いたり、夏服と冬服の二種類しかない制服に袖を通す毎日なのだから、そういった感覚にはどうしても疎い。
そのかわり、子どもの頃は、今の何倍もの時間を屋外で過ごしたし、田園の稲穂が背丈や色を変えていく姿や、山の木々をざわめかせる風の音の高低や、そういったものを直にたっぷり感じていた。

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by yukotto1 | 2006-09-18 01:03 | ぐっとくる映画
時々思うのだが、人間も生物であるならば、その本分はやはり命をつなぐことなのか、と。
いや、そもそも「本分」などという発想が非自然な不純物なのかもしれないが。

人の寿命はかつて、30歳そこそこだった。
それなりに文化的な生活を送るようになった後でさえ、人生は50年ほどが通常で、現在の日本のように平均寿命が80歳を超えるケースは歴史的にも地理的にもごく限られている。
もしも医療も薬もなく、自給自足だけに生きていれば、人間の寿命は未だに30年でもおかしくない。

それは、30年もあれば、人間が生物として命をつなぐのには十分だということを意味している。
15歳から25歳くらいまでの間に5人ほど出産して、30歳になったときには最初の子がもう親になれる年齢に近づいている。
そうなれば、もう生物としての役目はお終いだ。

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by yukotto1 | 2006-07-18 00:36 | ぐっとくる映画
黒澤明監督の「七人の侍」は、タイトルこそとてつもなく有名だが、実際にそれを観たことのある人は、若い人にはそう多くないかもしれない。
なにせ3時間半に及ぶ長編時代劇だし、戦後わずか9年の1954年に製作された古いモノクロの邦画だし、そうそう皆が観る機会に恵まれる作品ではない。
けれど、私は思うのだが、この作品ほどほとんど全ての人にとって面白いと思えるであろう、素晴らしくよくできた傑作は他になく、そうだからできれば、多くの人がその価値に出逢えることを願ってやまない。

時代劇ではあってもテーマは普遍的かつ情に溢れたドラマであり、練りに練られたストーリー、個性的なキャラクター、迫力あるアクション、胸に響く音楽、テンポの小気味よさ、無駄のない脚本、そしてまた、これこそ珠玉とシビれる演出。
ありふれた時代劇の説教臭さや浮世離れ感などなく、お決まりの展開もなければ、安っぽいお涙頂戴もない。

ああ面白い!という明快な娯楽性と、その上で差し迫る感情の渦に、それこそが稀有なる「感動」だと知ることができる。
全てがユニークで、全てがスペシャルなのだ。

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by yukotto1 | 2006-07-12 21:40 | ぐっとくる映画
私には弟が2人いるが、父方と母方に2人ずつのいとこもいる。
彼らはみんな私より年下なので、私は昔からいつでもどこでも、みんなの「お姉ちゃん」だった。

実家の母から連絡があり、いとこの1人が今年大学を卒業し就職して、ちょうど今、東京で新人研修を受けていると知らされた。
「なんかおいしいもんでも食べさせてやって」

Tちゃんと最後に会ったのは5年近く前で、そのときあの子はまだ高校生だった。
それがもう社会人なのだ。
大学を卒業してからの時の流れは感覚が鈍いが、5年の月日があれば、少女も立派な大人になる。
そういう事実に、小さなめまいがする。

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by yukotto1 | 2006-06-20 01:08 | ぐっとくる映画
思い立って、会社帰りに銀座で映画。
日が長くなったこの頃は、19時前ならまだまだ明るい。

「かもめ食堂」。
それが、観たくなった映画。

Walkerplusの「観てよかった作品」の堂々一位に輝いている。
評価者の80%以上が5点満点。
どんな映画だろう、と気になった。

主演は小林聡美。
先クールの連ドラでも主演していたが、彼女って年齢不詳で、役柄によってとても綺麗だったり、不細工だったりする。
若く見えたり老け込んだりする。

「かもめ食堂」では、ナチュラルで優しくて女性らしくて、とびきり素敵な美人を演じている。
この人、こんなに綺麗なんだなあと感心する。
たぶん、役作りで随分痩せたんじゃないか。

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by yukotto1 | 2006-04-27 00:39 | ぐっとくる映画