生活視点の映画紹介。日常のふとした瞬間思い出す映画の1シーンであったり、映画を観てよみがえる思い出だったり。生活と映画を近づけてみれば、どちらもより一層楽しいものになるような気がします。


by yukotto1
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

タグ:★★★ ( 108 ) タグの人気記事

梅雨の合間の陽射しは攻撃的だ。
分厚い雨雲に阻まれる鬱憤を、ここぞとばかり晴らそうとする夏至の太陽が、夏だ夏だと主張する。

会社を出て、ちょうど向かいにある店は、1年半くらい前にオーナーが変わり、以前は天ぷら屋だったが今はビストロになっている。
開店当初はランチの料理の質がひどく、その評判で一時閑古鳥が鳴いていたのだが、最近はずいぶん改善して賑わっている。
私も月に何回かは足を運ぶようになった。

内装はいかにもビストロ然としていて、テーブルには赤いギンガムチェックのクロスが敷かれ、壁にはアール・デコなポスターが映えている。
カウンター席の脇の壁にはシネマ・ポストカードがいくつも貼られていて、注文した料理が届くまでの間、私はそのカードのフランス語を解読しよう試みていた。

More
[PR]
by yukotto1 | 2008-06-24 00:08 | アートな映画

落語の魅力-寝ずの番-

最近、落語にはまっている。
昨年の薪能、歌舞伎に大相撲という古典芸能熱がそのまま派生した具合だが、勢い余って神楽坂に引っ越したら、ご近所至るところで落語やら講談やら三味線やら長唄やらをやっている。
そういう環境のせいもあって、さらに火がついた。

落語は機会や料金の面から言って敷居が低い。
都内の寄席で毎日何かしらやっているし、当日券でふらっと入れる。
料金も、2~3千円と安い。

かつて、昭和の名人古今亭志ん朝が神楽坂は矢来町に住んでいたそうで、そんな具合に神楽坂は落語に縁が深い土地柄。
現在、神楽坂に常設の寄席はないが、毘沙門さんや赤城神社のお堂で独演会が開かれることはしばしばで、他にも普段は芝居をやっている小劇場や場合によっては居酒屋の座敷なんていう場所で開かれる高座もあって、思い立ったとき、どこかしら出かけていける気軽さがある。

More
[PR]
by yukotto1 | 2008-01-09 17:49 | 笑える映画
もう半年も前のことになってしまうのだが、6月吉日、上の弟が結婚をした。
付き合い始めて1周年が結婚式という、なかなかのスピード婚だ。
弟は、ほんのちょっと前までは、20代のうちには結婚しないと言い切っていたのに、実際には、30歳の誕生日に2ヶ月ばかり早かった。
順序における姉への遠慮は一切なかったが、それはむしろありがたいことで、「弟よ、おめでとう」と素直に思う。

式の前日に実家に帰り、当日、美容院の予約の都合で両親たちよりも早い時刻に、同じく支度のある弟が車でホテルまで乗せていってくれた。
弟とゆっくり話すなんていうことは、近年ほとんどないので、それは不思議なシチュエーションに思えた。
幼かった彼を知るだけに、こいつが結婚するのかと思うと、まったく想像を超えている。

車中、意外と、結婚や結婚式の話は出なかった。
なぜまた彼がこの度結婚を決心したのだとか、今何を感じていてこれからどうしたいと思っているのかとか、そのへんのことはよく分からない。
そしてまた、特にそれを尋ねない。
まあ、決めたんだから何かしら考えたんだろうし、これまでとは違う何かもあったんだろう。
いい大人なんだから、それなりになんとかやるんだろう。

More
[PR]
by yukotto1 | 2007-12-12 16:40 | ハッピーになる映画
「美容院で髪を切るとき、いつもなんて言ってる?」
という友人の質問があまりに的を射ていると思ったのは、1年と少し前のことだ。
思わず、その場にいた何人かが「そう!それ!」と声を合わせた。

雑誌の切抜きを持っていくとか、芸能人の名前を挙げて「○○みたいにしてください」と言うとか、そういう人もいるのだろうが、なんだかそういうのは気恥ずかしい。
だから、「このくらいの長さで~、ちょっとレイヤーいれて~」というふうに部分的なリクエストをするのだが、正直、本人のイメージとできあがりの間に少なからずの乖離があることはあまりにありふれたことなんじゃないかと思う。

でも、うまく伝えられないこっちが悪いとも思うので、仕上がりにどこか納得できなかったとしても、折りたたみの三面鏡に後頭部を映されながら「いかがですか?」と問われれば、精一杯の笑顔で「はい。ありがとうございます」と答える不甲斐ない結末。
いずれにしてもそうなんだとしたら、どんな髪型にしますかなんて、どうか訊かないで欲しいという本音は、常日頃から持っていた。

More
[PR]
by yukotto1 | 2007-12-10 01:51 | ハッピーになる映画
床暖房に寝そべってレシピ本などめくっていたら、うとうとと夢の世界に迷い込んだ。
ふと気づくと、約束の15時までほんの10分前。
あわてて起きて支度して、15時ちょうどに家を出た。

神楽坂上の交差点。
道路をはさんだ場所から相手を見つけたのは、私の方が先だった。
友だちは、何か音楽を聴きながら待っていた。

彼に会うのはいつもちょっと照れる。
私にとって男性は、異性を感じる人か感じない人かで大きく二分され、その違いはあまりに歴然としている。
だから、いつでも自分の態度に迷うことなどないのに、彼だけはそういう分類軸の外側にあるようで、私の中で独特のポジションを占めている。
異性と接する感覚とそれを超えた感覚の狭間で、私は彼に対して、回路の分からない照れを感じる。

何かを理性で抑止するような、頭の後ろがちょっとしびれる緊張感は、むしろ心地いい。

More
[PR]
by yukotto1 | 2007-11-21 11:18 | ハッピーになる映画

くされ縁-ハンニバル-

平日午後7時半から8時頃にかけて、銀座8丁目界隈は夢みたいな空気に包まれる。
蝶のように美しい女性たちが艶めくドレスの裾をヒラヒラとなびかせながら、高い視線で颯爽と歩き、次々にビルの中へと吸い込まれていく。

そういったビルの前には必ずと言っていいほど、タキシード姿の精悍な顔つきの男性が背筋を伸ばして佇みながら、周囲を鋭く観察している。

銀座の、夜の顔。

そんな時間帯にこの近辺に足を運ぶことはそうないのだが、考えてみれば、自分自身が指定したビストロは8丁目の中心にあった。
その夜は、名古屋から出張で上京した友人と、大学時代の友人と3人で飲むことになっていた。

More
[PR]
by yukotto1 | 2007-08-14 12:00 | 怖い映画
考えてみれば、これまではいつも、若くてこざっぱりした人ばかりだった。
一貫していたのは、皆、静かで穏やかだったこと。
私を守ってくれたこと。
けれどもそれでは飽き足らず、次第に欲張りになっていく私は、一層に包み込んでくれる寛大さを求めるようになった。

あらゆることが私にとっては初めてづくしで、春から夏、秋から冬への一年で、一緒に大人になっていった気がする、大阪の人。
私は慣れない料理をおぼえ、生活ごっこに夢中だった。
飽きるほどの夜更かしや長電話、ときめきもぬくもりも全部教わって、そして一年で私は旅立つことに決めた。

More
[PR]
by yukotto1 | 2007-07-03 11:45 | 笑える映画
気分のとどまりを、淀みのように思うのは、近頃のよくない傾向だ。
よくない傾向だが、それに対処しないわけには日々暮らせないので、今日は外にパソコンを持ち出した。

自宅のブロードバンドが使えない。
数日前の晩、突然ネットにつながらなくなった。
ソフトバンクからレンタルしているルータの、8つくらいあるランプのうち2つが消えていたので、訳もわからず電源を抜いて挿してみて、30分放っておいたら、なぜか復旧した。
と思ったら、翌日にはまた使えなくなり、こんどは8つのランプが全部消えてしまった。

しかたがないのでテクニカルセンターに電話したら、ルータを交換する必要があるだとかで、それが届くのに数日かかる。
AirHがあるので致命的に困るわけではないのだが、IP電話も使えないので、「ホットライン」化している神戸の友人への電話代がかさむのが微妙にむかつく。
ソフトバンクは不通期間の利用料を割り引いてくれたりしないんだろうか。

More
[PR]
by yukotto1 | 2007-06-03 00:43 | 考えてしまう映画
私が彼の名前を初めて聞いたのは、エイプリルフールの代々木公園だった。
花見日和の日曜日で、公園は賑わしく、人々は陽気だった。

ある女性が私の勤め先を聞いて、「あれ買ったよ」と言う。
あれって何?と尋ねると、耳慣れない商品の名前。
その響きから連想したのは、アウトドアグッズか何かだった。

怪訝な顔をする私を見て、「○○(私の勤める会社名)だよね?」と彼女は再確認するのだが、「そうだよ」と答えながら私はまったく解せなかった。
弊社の取扱商品に、そんなアウトドアグッズはなかったと思う。

その翌日、会社で近くの席のIさんが、「私、今さー、あれが欲しいなーって思ってるんだよね」とつぶやく。
「あれ」って何ですか?と訊くと、その「あれ」は、まさに前日代々木公園で耳にしたアウトドアグッズの名前だった。

「それ、うちの商品なんですか?」
「違うわよー。ショップジャパンよ」
「あー、そうなんだ」

ショップジャパンは、弊社と社名の響きが似ているので、間違える人が多い。
私が弊社取扱商品を知らなかったのではなく、相手が勘違いしていたのだと知って、少しほっとする。

More
[PR]
by yukotto1 | 2007-04-24 11:33 | 笑える映画

息吹の約束-卒業-

今年は桜の開花が早いらしい。
折からの暖冬のせい。

卒業式に桜が咲くというのは錯覚で、桜が咲くのは通常、入学式の頃だ。
昨年より一週間ほど早い今年の桜でさえ、満開を迎えるのは4月の頭。

今年の桜が楽しみで、三寒四温の透明な空を見上げる。
どんな桜、どんな新しい季節。

硬い殻がほろほろとこぼれ、新しい何かが姿を現す。
それが、春という季節。
果たされる、息吹の約束。

More
[PR]
by yukotto1 | 2007-03-13 11:26 | 考えてしまう映画