生活視点の映画紹介。日常のふとした瞬間思い出す映画の1シーンであったり、映画を観てよみがえる思い出だったり。生活と映画を近づけてみれば、どちらもより一層楽しいものになるような気がします。


by yukotto1
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去年の4月は、3週連続で友人の結婚式があった。
いまさらなのだけれど、そのうちの1つの式の話を今日は書こうと思う。

新婦モリンコとは、2年半くらい前に知り合った。
共通の友人が主催した、長瀞でのラフティング合宿で出逢ったのだ。

立ち寄った温泉の脱衣所で、モリンコは私にヘアトリートメントをくれると言った。
化粧品会社に勤めている友人からサンプルをもらったそうで、「これ、すごくいいから」と薦めてくれた。
それから私のことを、原沙知絵に似ていると、しきりに言った。

モリンコは私より6つ年下で、フリーのカメラマンをしていた。
福岡出身で、地元の大学の写真科を出た後、東京で働いていた。

モリンコは、自分のことを「モリンコ」と呼んだ。
モリンコは、背が高く、髪が長く、化粧っ気がなく、キュートな笑顔をしていた。

そしてモリンコは、その夜、みんなの前で大きな発表をした。
「こないだプロポーズされたから、結婚します」

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by yukotto1 | 2010-04-22 00:39 | ノリノリの映画
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photo by hikaru

ある友人は、花の名前をよく知っている。
駅から自宅へ歩く間に見かけた花の名前を、10種類ほど言い当てられる。

犬の種類もよく知っている。
その血統や気性なんかも知っている。

当たり前みたいに「イングリッシュスパニエル」と言われても、私は「イングリッシュ」なのか「スパニッシュ」なのか混同してしまう始末だ。
それがどんな姿かたちの犬なのか、名前だけ聞いても分からない。

一方、その友人はビジネス用語なんて知らない。

漫画には詳しいのに、映画には詳しくない。
神話には詳しいのに、落語には詳しくない。

私たちは同い年だし、同じ街の出身だし、同じ中学で学んだし、同じような方言で話すのに。
けれども、私たちの興味関心はまったく違うところにあって、そのせいで持っている知識はあまりに違っている。

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by yukotto1 | 2010-04-20 00:54 | ハッピーになる映画
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人と人には、それぞれ、ちょうどよい距離感や関係性がある。

燃え上がる熱情だけが運命ではなく、気づくとそばにいる自然な関係にも、すれ違いを繰り返す歯がゆい関係にも、視線で挨拶するだけのさりげない関係にも、固有の運命があると、私はそう思う。

慎重に探りあいながら、あるいは成り行きに任せるままに、収まりのよいスタンスを見つけ、それを維持していくことができるなら、二人の関係は長く続く。
けれど、どちらかが一方的にバランスを崩そうとすれば、途端に脆く崩れてしまうこともある。

「オリヲン座からの招待状」では、小さな映画館を営む夫婦と、住み込みで働く青年との交流が描かれるが、やがてオリヲン座の主人が病死し、未亡人となった妻と青年がふたりきりで同居するようになる。
二人は、主が欠けた劇場を守る同志として、同じ孤独を共有する家族のようなものとして、いたわりあいながら名もつかぬ関係を紡いでいく。
周囲の人は色眼鏡で二人を揶揄するけれど、互いにしか分からないものが確かにあって、時がやがて関係を本物にしていくのだ。

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by yukotto1 | 2010-02-12 00:17 | しっとりする映画
原作「サヨナライツカ」の大ファンとしては、その映画化作品を観ないですむわけがない。
これを見るのは、制作発表の日から決めていたことだけれど、いざとなると、期待より不安の方が大きかった。

だいたい、「大好きな原作」が映画化されて「大好きな映画」になった試しなんてあっただろうか。
スクリーンの映像と頭の中で出来上がった勝手なイメージを照らし合わせたときに、あれが違う、これが違うと、比較にばかり目がゆくのは避けられない。

他人が作った映像が自分の作ったイメージを超えるなんてことは、まずないのだから。

昨年の終わりごろ、「見たい映画は?」と尋ねられて、何の思惑もなく「サヨナライツカ」と答えたら、「それを一緒に見に行こうよ」と言われた。

そうだねと約束したのだけれど、内心、少しためらいがあった。
もっと、どうでもいいタイトルを挙げればよかったと後悔した。

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by yukotto1 | 2010-01-25 22:25 | 切ない映画
「全部ぜんぶ捨てて、旦那も子どもも全てを捨てて、それでインドに行っちゃうわけよ。
ずっと、モヤモヤを抱え続けてきた主婦が」

漫画のシナリオを練りたいという友人と、例えばどんな物語を作ろうかという話をしていたとき、私がそんなふうな提案をしたら、友人は「そんなのダメダメ」と否定した。

なんで?面白くない?
インドに行って、それから何をするというのは決めてないけど、そこから物語がいくらでも広がっていく気がするんだけど。

「そんなのは受けいれられない」
と、自身、主婦であって母である友人は言う。

あなたにそうしろと言うつもりもないし、むしろ、そんなことできないからこそ物語が面白くなるんじゃないの。
受け容れられるか、られないかなんて、全然関係ないよ。

「でも、そんなの、する人の気がしれない。無理」

だから、フィクションなんだってば。
あなたのことでも、あなたの妹のことでもない。

感情移入型の人と話すとき、こういうやりとりは時々起きる。
作り物の世界でさえ、自分とは無関係と整理することができなくて、過剰に反応してしまうわけだ。

この友人は、「映画は感情が揺さぶられるから苦手」と言うくらいだから、なかなかナイーブな人だ。
私なんかは、「感情が揺さぶられるから」映画が好きなんだけど。

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by yukotto1 | 2010-01-20 00:34 | ぐっとくる映画
ここのところ、しばらく会っていなかった友人からの連絡が続いている。
先週1週間のうちに、5人から突然のお誘いがあって、10月の残りの週末の予定がきれいに埋まってしまった。

会えば、報告もあり、相談もある。
ただなんとなく、という人の真意さえ、その背景にはきっとなにかある。

人の話をきく。
私は、それに直接の意見はしない。

ただ質問を繰り返す。
たくさんの質問をする。

それから、まったく別の、自分の話をする。
人から聞いた話をすることもある。

そうすることで、ようやく友人は核心を語り始める。
本当は語られたがっていた、小さく硬い、胸の核。

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by yukotto1 | 2009-10-12 01:35 | ぐっとくる映画
新宿南口のGAPの前で待っていた。
雨が止んで、また降り出しそうな、微妙な宵の口だった。

丸の内線が事故か故障で動かないからと、彼は二駅分、歩いてくると言う。
新宿御苑に住んでいるらしい。

待っている相手は、中学の同級生だ。
1年と3年は同じクラスだった気がするが、2年はどうだっただろう。
3年間ずっと同じクラスの人が一人だけいたと認識していたが、ひょっとすると、彼がその人かもしれない。

まじめで勉強のできる男の子だったが、最大のアイコンは、学年唯一の「医者の息子」だということ。
田舎の公立中学なので、開業医の息子なんて、学年に一人いればいい。
地元の人なら誰でも知っている、内科医院の次男坊で、みんな勝手に、彼は将来医者になるだろうと踏んでいた。

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by yukotto1 | 2009-02-02 01:20 |
クリスピークリームドーナツの行列に並ぶなんて、自分ひとりでだったら、絶対にありえない。
ドーナツが嫌いなわけでもないが、特別好きなわけでもないし、それを買うために長蛇の列だなんて。

だけど、大好きな友人と2年ぶりに会えることになり、彼女がクリスピークリームドーナツを食べたいと言ったら、私は喜んでそれに並ぶ。
混雑を避けるため、雨が降る日曜の朝9時に有楽町というスケジュールもへっちゃら。
(もともと休みの日の早起きは好きなんだけど)

2年前、彼女は、電撃的に結婚して、電撃的に会社を辞めて、電撃的にベルギーへ引っ越した。
すべてが電撃的で、驚いている暇もなかった。
なにもかもすべてを変えてしまう決断を鮮やかにやってのけ、どんなときも変わることのない阿弥陀様のような笑顔で手を振り、そして旅立った。

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by yukotto1 | 2008-07-01 23:27 | ハッピーになる映画
最近、年下の女友だちが増えた、と感じる。
自分が年をとったからでもあるだろうし、同年代の友人の多くが家事や育児に忙しい時期で、なかなか一緒に遊べないというのもあるだろう。

自然な流れなのだろうけれど、それも悪くない。
年下の女性と話をすると、お年頃的諸問題から解放された気楽な楽しさがあるばかりでなく、自分の歩んできた道を振り返って初心を思い出すような、心地よい刺激がある。

目下、私の最年少の女友だちは、若干3歳。

中学以来の友人と私は、週に1回以上電話で話すけれど、その横で「お話しするの。お話しするの」と、一生懸命に主張する幼い声がする。
声の主は友人の娘だが、このところ、びっくりするほど言葉を覚えた。
この春には保育園に通い始める。

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by yukotto1 | 2008-04-02 19:16 | 切ない映画
床暖房に寝そべってレシピ本などめくっていたら、うとうとと夢の世界に迷い込んだ。
ふと気づくと、約束の15時までほんの10分前。
あわてて起きて支度して、15時ちょうどに家を出た。

神楽坂上の交差点。
道路をはさんだ場所から相手を見つけたのは、私の方が先だった。
友だちは、何か音楽を聴きながら待っていた。

彼に会うのはいつもちょっと照れる。
私にとって男性は、異性を感じる人か感じない人かで大きく二分され、その違いはあまりに歴然としている。
だから、いつでも自分の態度に迷うことなどないのに、彼だけはそういう分類軸の外側にあるようで、私の中で独特のポジションを占めている。
異性と接する感覚とそれを超えた感覚の狭間で、私は彼に対して、回路の分からない照れを感じる。

何かを理性で抑止するような、頭の後ろがちょっとしびれる緊張感は、むしろ心地いい。

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by yukotto1 | 2007-11-21 11:18 | ハッピーになる映画