生活視点の映画紹介。日常のふとした瞬間思い出す映画の1シーンであったり、映画を観てよみがえる思い出だったり。生活と映画を近づけてみれば、どちらもより一層楽しいものになるような気がします。


by yukotto1
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くされ縁-ハンニバル-

平日午後7時半から8時頃にかけて、銀座8丁目界隈は夢みたいな空気に包まれる。
蝶のように美しい女性たちが艶めくドレスの裾をヒラヒラとなびかせながら、高い視線で颯爽と歩き、次々にビルの中へと吸い込まれていく。

そういったビルの前には必ずと言っていいほど、タキシード姿の精悍な顔つきの男性が背筋を伸ばして佇みながら、周囲を鋭く観察している。

銀座の、夜の顔。

そんな時間帯にこの近辺に足を運ぶことはそうないのだが、考えてみれば、自分自身が指定したビストロは8丁目の中心にあった。
その夜は、名古屋から出張で上京した友人と、大学時代の友人と3人で飲むことになっていた。

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by yukotto1 | 2007-08-14 12:00 | 怖い映画
こんな夜中に西郷さんが見たいなんて、突拍子もないことを平気で言う性格は相変わらずだと思った。
子どもみたいなところがある。

相手との相性や間柄によって、人のキャラクターというのは変わって当然だが、この人と一緒のときの私は、いつも少しだけお姉さんぽい役回りになる。
「しかたないなあ」とその思いつきやわがままに付き合ってやる・・・だなんて、いや、ほんとはきっと違う。
大人なようでいてまったく横柄なスタンス。
本当は、私の方がずっと気まぐれでわがままなのだ。

思いつきを提案するのは確かにいつでも彼の方だけれど、私は気分次第で、その提案に応えもするし、かわしもする。
イニシアチブはいつもこちらにあることを、私たちは無意識のうちに知っていて、だから私のスタンスはいつも「しかたないなあ」という受け身なそれなのだと思う。

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by yukotto1 | 2007-07-30 00:49 | 音楽

嫁にゆく-秋刀魚の味-

いまどき「お嫁にゆく」なんていう表現は古めかしすぎるかもしれない。
結婚は当人同士の問題だし、親が家がと言うのはナンセンスだ。

けれど、彼女の結婚に限っては、「お嫁にゆく」という表現がしっくりくる気がするし、彼女自身の慎ましさや折り目正しさといったものは、そんな古式ゆかしい香りがして、それが白い衣装に包まれたなら、まさに絵に描いたような「お嫁さま」ができあがる。

友人の一人は、由緒も正しい家に一人娘として生まれ、大切に大切に育てられてきた。
ご両親が子どもを諦めかけた頃に授かった娘なので、待ち望まれた子としてふさわしい名前がつけられた。
7年前、彼女と知り合って間もない頃に、その名の由来を聞かせてもらったのだ。
彼女の親しい友人なら、みんなその話をしっている。
とにかく彼女は、家族のこと、ご両親のことを、ことあるごとに話すからだ。
そういうときの表情は、いつも優しく愛に満ちている。

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by yukotto1 | 2007-05-20 23:40 | ぐっとくる映画

安堵-モンスター-

友人と会うときは、断然一対一がいい。
その人と私、それぞれには心打ち解けた間柄でも、そういう友人2人といっぺんに、つまり3人で会うとなると、急に私のテンションは変わってしまう。
2人のときの私と、3人のときの私、もっと多くの人たちに囲まれたときの私、全部違うのだ。

意外に思われることもあるのだけれど、私はあまり大人数の集まりが得意じゃない。
やたらと自分の役回りみたいのを考えてしまうし、その中にそれほど親しくない人がいたりすると、妙に自分を譲ってしまう。
団体行動が基本的に苦手なのだ。

一番心地いいと感じるのは、誰かとの一対一の時間。
私は相手の話を聴き、相手は私の話に耳を傾けてくれる。
打ち明け話のように本音を話し、とっておきの秘密を聴く。
実際には秘密でもなんでもないのかもしれないけれど、互いの目を見ながらする話は、他の人のいる場でする話とは明らかに違う、特別な感じがする。

大勢と賑やかに過ごすのも、たまには悪くないけど、それはそれ、これはこれ。
私には、大切な人と個々にゆっくり向き合う時間が必要なのだと、年を重ねるごと強く確認するようになっている。

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by yukotto1 | 2006-09-29 20:18 | 考えてしまう映画
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photo by hikaru

それはもう15年も前のことになるが、私は一度だけアメリカに行ったことがある。
高校1年の春休みに、カリフォルニアのリンゼイという町でホームステイをしたのだ。

リンゼイは本当に小さな町で、胸が透くほど広々とした大地にオリーブとオレンジの畑が延々と見渡す限り続き、民家はその畑の合間にまばらに建っているばかりだった。
つまり、いかにもアメリカらしい町だった、ということ。

アメリカらしい町には必ず、アメリカらしいスーパーマーケットがある。
ただ広い倉庫のような店舗で、食料品や雑貨がむき出しに陳列されている。
天井が高くて通路の幅が広くて、ショッピングカートを押す私は巨人の国に迷い込んだ小人みたいだった。

それはあらゆるものが新鮮で、心躍る、最高の旅だった。
16歳のありあまる好奇心が、休むことなく震える旅だった。

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by yukotto1 | 2006-09-19 01:08 | しっとりする映画
友人が新居に越したお祝いにと、三連休の中日に八丁堀まで出かけた。
「地図が読めない」私には、位置関係が定かでないけれど、たぶん私の会社からも近い。

新宿で買物があったついでにデパ地下でおもたせを買い、地下鉄に乗ろうとしたとき着信があった。
おとといの晩は他の用があるから行かないって言っていたのに、どうやら彼も行くことにしたらしい。
「ちょっとだけ顔を出すことにした」

あら、そう。だったら早くそう言ってくれればいいのに。
地図が読めない上に地図を忘れてきてしまった、救いようがない私は、ちょうど困り果てていた。
とりあえず一緒に行こうよ、ていうか目的地まで連れてって、というわけで、銀座で落ち合いワインを買ってからタクシーをつかまえた。
彼は先月、その友人宅にいち早くお邪魔していたのだ。

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by yukotto1 | 2006-07-18 20:45 | 切ない映画
黒澤明監督の「七人の侍」は、タイトルこそとてつもなく有名だが、実際にそれを観たことのある人は、若い人にはそう多くないかもしれない。
なにせ3時間半に及ぶ長編時代劇だし、戦後わずか9年の1954年に製作された古いモノクロの邦画だし、そうそう皆が観る機会に恵まれる作品ではない。
けれど、私は思うのだが、この作品ほどほとんど全ての人にとって面白いと思えるであろう、素晴らしくよくできた傑作は他になく、そうだからできれば、多くの人がその価値に出逢えることを願ってやまない。

時代劇ではあってもテーマは普遍的かつ情に溢れたドラマであり、練りに練られたストーリー、個性的なキャラクター、迫力あるアクション、胸に響く音楽、テンポの小気味よさ、無駄のない脚本、そしてまた、これこそ珠玉とシビれる演出。
ありふれた時代劇の説教臭さや浮世離れ感などなく、お決まりの展開もなければ、安っぽいお涙頂戴もない。

ああ面白い!という明快な娯楽性と、その上で差し迫る感情の渦に、それこそが稀有なる「感動」だと知ることができる。
全てがユニークで、全てがスペシャルなのだ。

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by yukotto1 | 2006-07-12 21:40 | ぐっとくる映画
やっとマンゴーが届いた。
1ヶ月前にうちの会社の通販で注文した、タイ産の完熟マンゴー。
そろそろ届くだろうと思っていた、大きくて黄色いマンゴー。

段ボール箱に6個、白いビニールのネットをかぶってラグビーボールを一回り小さくしたくらいのサイズのマンゴーは、指でやさしく押すと中は十分にやわらかく、既に食べごろだと分かる。
バンコク滞在中は毎朝のように味わっていた、一種の臭みと表現するにも近い、独特の甘い香りを思い出す。

土曜日は昼に友人が来ることになっていた。
私の部屋の隅に置かれた、モザイク状にタイルがはめ込まれた円い天板のテーブルを彼女が引き取りにくるのだ。

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by yukotto1 | 2006-05-28 23:29 | ハッピーになる映画
スピーチの原稿をもう一度書き直そうと、新幹線の中でペンをとる。
伝えたいことがたくさんあるので、そのどれひとつと選ぶのが難しい。
何においても言葉が足りないような気がし、それでもつい書き過ぎないようにと気をつける。

あまりにもプライベートな逸話ばかり浮かぶので、具体的なことを書くのをためらいもするが、そうすれば話がぼやけてしまって、知らない人はしらけるだろう。
そんなことを考えながら、まとまりきらない原稿用紙を、何度も何度も推敲する。

彼女の結婚式。

確か5年位前に絶対に泣くと宣言したけれど、その日がついにやってきた。
自分より前か後かとは想像したことがなかったけれど、想像を超えた展開であることは確かだった。
それでもそれも、彼女らしいかもしれない。

実に毅然として折り目正しく、また柔軟で軽やか。そして大胆。

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by yukotto1 | 2006-04-17 01:03 | 考えてしまう映画

先月、韓流スターのウォンビンが兵役のため入隊したというニュースが報じられた。
個人的な趣味では、韓国四天王の中で一番好きなウォンビン。
あんな男前でも兵役を拒否できない、厳しいサダメだ。

友人の韓国人L君は、日本に留学していた折、この兵役のサダメについて、憂鬱そうに触れていた。
健康な韓国人男性は、18歳になればいずれ2年2ヶ月の兵役義務を果たさなければならない。
つまり、仕事や学問や恋愛やスポーツや、人生のうちで最もやるべきことが多くて、成長と歓びに溢れた20代の貴重な二年間を、お国のために捧げなければならない。

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by yukotto1 | 2005-12-12 01:01 | 迫力系映画