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生活視点の映画紹介。日常のふとした瞬間思い出す映画の1シーンであったり、映画を観てよみがえる思い出だったり。生活と映画を近づけてみれば、どちらもより一層楽しいものになるような気がします。


by yukotto1
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ポジティブな結論-憑神-

ずっと背中が痛かったのだけれど、それが多少和らいできたと思ったら、今度は太ももが痛くなりだした。
怪我をして1週間近く経ってようやく、これまで痛まなかった箇所が痛んでくるなんて、不思議だ。

でも、もしかすると、背中の痛みがひどすぎて、太ももの痛みに気づかなかっただけかもしれないという説もある。
より大きな痛みがあると、小さな痛みは忘れてしまいやすいようだ。

背中の痛みは、生死に関わるんじゃないかと思うくらい激しかった。
それが今は、だいぶ落ち着いてきている。
何というほどの治療をしたわけでもないのに、人の回復力というのは、本当にすごい。

左の太ももは広範囲に青タンができていて、じんじんと痛い。
激痛というほどではないけれど、つっぱるような感覚が続いている。

メントール入りの湿布を2枚並べて貼って、そこから遠慮なくはみだした青タンを睨み、ちゃんと治ってくれるよね?と念を押してみる。



ついこのあいだまでは、連日が忙しかった。
自分の頭を占める悩みや疑問があって、それを解放したいばかりに、毎日のように人に会い、軽い話から重い話まで、相談にのったりのってもらったり。
落語やゴルフや川遊びや、占いとかカウンセリングとかスピリチュアルヒーリングとか、とにかくあらゆる思いつきを実践してみて、テンションはずっと高かった。

いっぱい刺激を受けて。
いっぱい心が動いて。

そのおかげで、おおげさだけど、たった1ヶ月で、ちょっと私、成長した。

自分が自分で認めていい部分と、変えていかなくちゃいけないんだという部分。
その切り分けができて初めて、ポジティブに現実を見つめられる、というような。

そして、その忙しい日々の挙句に、怪我をした。
それは、せっかく今まで考えてきたことをいっぺんに忘れちゃうんじゃないかと思うような痛みを私にもたらした。

思索が簡単に無為に帰すほど、身体的苦痛というのは切羽詰っている。
下層の欲求段階で、まず人は、生きなくてはいけないし、安全であらねばならない。
より大きな事件が起きると、小さな事件は忘れてしまいやすいようだ。

たとえば、映画「憑神」でも、ツイてない主人公に、疫病神、貧乏神、死神がとり憑いてしまった途端、もともとのツイてないことなんて、とりあえずはどうでもよくなってしまう。
目下の課題に懸命になれば、自ずと全てが前進に転じたりもする。

ある人が言った。

「ここで怪我をして、考えてたことを全部忘れちゃうっていうのは、逆に、いいことなのかもしれませんよ。
潜在意識にはちゃんと残ってると思うし、一度忘れた方が、本当に会得されるというか」

確かに、そんなものかもしれない。

なんというか、身の回りに起きる全てのことは、実は何らかの結論に向けて流れ込む幾本もの細い川の流れみたいなものなのではないかと、そう感じたりもする。
より大きな川に合流すれば、かつて独立していた流れは姿を消すけれど、それを構成する滴が消えるわけでもない。
そうやって、滴はより大きな流れを作り出し、細い川の集合が海になる。

「あれを飛べばいいことがあるかも」なんて願をかけて、文字通り向こう見ずに飛び出してしまうなんて、私はとんでもない馬鹿者だけど、でも、その「いいこと」が今のこの気分なのだとしたら、その願いは叶ったのだなあなんて、一体、私、どんだけポジティブなんだと。

一体、私、どんだけ幸せ者なんだと。


憑神(2007年・日)
監督:降旗康男
出演:妻夫木聡、夏木マリ、佐々木蔵之介他
by yukotto1 | 2008-07-15 00:24 | 笑える映画