言えない秘密-あなたになら言える秘密のこと-
2009年 10月 12日
ここのところ、しばらく会っていなかった友人からの連絡が続いている。
先週1週間のうちに、5人から突然のお誘いがあって、10月の残りの週末の予定がきれいに埋まってしまった。
会えば、報告もあり、相談もある。
ただなんとなく、という人の真意さえ、その背景にはきっとなにかある。
人の話をきく。
私は、それに直接の意見はしない。
ただ質問を繰り返す。
たくさんの質問をする。
それから、まったく別の、自分の話をする。
人から聞いた話をすることもある。
そうすることで、ようやく友人は核心を語り始める。
本当は語られたがっていた、小さく硬い、胸の核。
私たちは、それなりに年をとった。
もう、いい大人で、責任のある仕事や、守るべき家庭をもっている。
私は結婚をしたことがないし、子供をもったこともない。
だから、その幸せも悩みも、想像でしかない。
ただ私は、どんな状況にあっても、自由でいたいから。
結婚しても、子供をもっても、年をとっても、寿命が近づいても、自由でいたいから。
他人や身内や、過去や未来。
執着や不安や、恐怖や嫉妬。
そういう一切から自由に。
本当に大事なものを大事にできるかどうか。
ただ耐えるばかりの人生なんて、決して選んではいけない。
それが確信の選択である限り、あなたは自由だし、それが単なる忍耐に過ぎないのなら、残りの人生は、ひたすらにつらいばかりでしょう。
せっかく生まれてきたのなら、できる限り多くの一瞬を幸せに生きたいと思うな。
「元気が出てきたよ。元気な君と話すと、いつも元気になる」
たぶん5時間近く話した後、彼は最後に笑って、握手を求めた。
誰にも言えない秘密がある。
口にした瞬間、深い深い暗さが、存在を飲み込んで、溺れてしまいそうなこと。
砂の城のごとく、無残に崩れてしまうこと。
言えない秘密は、言いたい秘密。
明るく穏やかな友人の陰に、そんな秘密を感じ取ったとき、私は小さくノックしてみる。
右から叩いたり、左から小突いたり、裏からなでたり、表からさすったりする。
いろんなことはつながっている。
無関係なようなことも、根っこは同じだったりする。
心理学には、自己開示の相互性というものがあるが、まさに秘密とは等価に交換されるものだ。
言えない秘密もないような人は、他人の秘密を聞くことができない。
自分の痛みから目をそらしている人は、人の痛みを介錯することができない。
「あなたになら言える秘密のこと」
作中、ハンナが語り始めたのは、その聞き役の痛みに、自分を重ねたからだろう。
分かち合うとか、理解しあうとか、安っぽい言葉はいくらでもあるけど、ただそうやって、注意深く木片に彫刻することで姿を見せる真実があって、最後にそれに一緒に出逢えたら、それだけで嬉しいじゃないですか。
私たち、とてもいい時間を過ごしたねと、そう思えるじゃないですか。
それ以上でも以下でもない。
そういう瞬間の集合体こそが、すべてなのだから。
あなたになら言える秘密のこと(2005年・西)
監督:イサベル・コイシェ
出演:サラ・ポーリー 、 ティム・ロビンス 、 ハビエル・カマラ 他
先週1週間のうちに、5人から突然のお誘いがあって、10月の残りの週末の予定がきれいに埋まってしまった。
会えば、報告もあり、相談もある。
ただなんとなく、という人の真意さえ、その背景にはきっとなにかある。
人の話をきく。
私は、それに直接の意見はしない。
ただ質問を繰り返す。
たくさんの質問をする。
それから、まったく別の、自分の話をする。
人から聞いた話をすることもある。
そうすることで、ようやく友人は核心を語り始める。
本当は語られたがっていた、小さく硬い、胸の核。
私たちは、それなりに年をとった。
もう、いい大人で、責任のある仕事や、守るべき家庭をもっている。
私は結婚をしたことがないし、子供をもったこともない。
だから、その幸せも悩みも、想像でしかない。
ただ私は、どんな状況にあっても、自由でいたいから。
結婚しても、子供をもっても、年をとっても、寿命が近づいても、自由でいたいから。
他人や身内や、過去や未来。
執着や不安や、恐怖や嫉妬。
そういう一切から自由に。
本当に大事なものを大事にできるかどうか。
ただ耐えるばかりの人生なんて、決して選んではいけない。
それが確信の選択である限り、あなたは自由だし、それが単なる忍耐に過ぎないのなら、残りの人生は、ひたすらにつらいばかりでしょう。
せっかく生まれてきたのなら、できる限り多くの一瞬を幸せに生きたいと思うな。
「元気が出てきたよ。元気な君と話すと、いつも元気になる」
たぶん5時間近く話した後、彼は最後に笑って、握手を求めた。
誰にも言えない秘密がある。
口にした瞬間、深い深い暗さが、存在を飲み込んで、溺れてしまいそうなこと。
砂の城のごとく、無残に崩れてしまうこと。
言えない秘密は、言いたい秘密。
明るく穏やかな友人の陰に、そんな秘密を感じ取ったとき、私は小さくノックしてみる。
右から叩いたり、左から小突いたり、裏からなでたり、表からさすったりする。
いろんなことはつながっている。
無関係なようなことも、根っこは同じだったりする。
心理学には、自己開示の相互性というものがあるが、まさに秘密とは等価に交換されるものだ。
言えない秘密もないような人は、他人の秘密を聞くことができない。
自分の痛みから目をそらしている人は、人の痛みを介錯することができない。
「あなたになら言える秘密のこと」
作中、ハンナが語り始めたのは、その聞き役の痛みに、自分を重ねたからだろう。
分かち合うとか、理解しあうとか、安っぽい言葉はいくらでもあるけど、ただそうやって、注意深く木片に彫刻することで姿を見せる真実があって、最後にそれに一緒に出逢えたら、それだけで嬉しいじゃないですか。
私たち、とてもいい時間を過ごしたねと、そう思えるじゃないですか。
それ以上でも以下でもない。
そういう瞬間の集合体こそが、すべてなのだから。
あなたになら言える秘密のこと(2005年・西)
監督:イサベル・コイシェ
出演:サラ・ポーリー 、 ティム・ロビンス 、 ハビエル・カマラ 他
by yukotto1
| 2009-10-12 01:35
| ぐっとくる映画